イスラエル:暗黒の源流  ジャボチンスキーとユダヤ・ファシズム 目次に戻る    (アーカイブ目次に戻る)

第10部 近代欧州史の深奥   (2008年7月)
     

小見出し  
[再度、なぜトルコなのか?]  [偽預言者の系譜]  [重層社会としての欧州]  [シオニズムとは?]

[再度、なぜトルコなのか?]  【小見出しに戻る】

 イスラエルの中東支配に大きな鍵を握るのがトルコであることは前回申し上げたとおりなのだが、しかし奇妙である。オスマン帝国末期にいきなりシオニスト・ユダヤ人がトルコに登場して活躍を始めたとは思えない。それだけの活動を行うためには、その活動を支える根強い何らかの潮流が以前から作られていなければならない。オスマン帝国とシオニズム以前のユダヤ人社会の間に、いったいどんなパイプが作られていたのだろうか。

 サバタイ・ゼヴィ(Sabbatai Zevi;Shabbethai、Zvi、Tzviなど様々に表記される)といっても、よほどユダヤ史を研究している人以外には、ご存知の方はほとんどいないだろう。しかしユダヤ人の間では「自称メシア」つまり「偽メシア」として有名な人物である。彼は1626年にトルコのスミマにあるユダヤ共同体の中で生まれた。若いころは神秘主義とカバラ魔術に凝ったと言われるが、やがて17世紀に英国で発生した千年王国思想に影響を受け自らを「メシア」と名乗るようになる。

 なお、この英国で流行した奇妙な思想だが、新約聖書のヨハネの黙示録に出てくる「666」という偽キリストの数字から「1666年が終末の年であり、そこからキリストが支配する千年王国が始まる」という他愛の無いもので、もちろん1666には何も起きなかった。しかしその流行の周辺を眺めてみるならばとても「他愛の無い」などといえた代物ではない。まずオリバー・クロムエルなどの英国清教徒が率先してこの思想を高唱した。そしてポルトガルのラビであるメナッセー・ベン・イスラエルはユダヤ人のメシア待望、「イスラエルの失われた十支族」が英国に住み着いたというデマ、十字軍以来のキリスト教徒のシオン願望、そしてこの千年王国思想を巧みに利用しながら、クロムエルと英国議会を説得し、英国のキリスト教徒がオランダとポルトガルに住んでいたユダヤ人を受け入れるように導いた。こうして英国でキリスト教ともユダヤ教ともつかぬ奇妙なメシア思想が根付いていった。

 ちなみにいうなら、後にアメリカ大陸に移りそこを「神に約束された聖なる地(=シオン)」に見立てた清教徒たちの源流はこのあたりにあるのだろう。もともとユダヤ教の影響を受けるカルヴァンの流れなのだが、米国のキリスト教は、欧州のそれとはかなり異なった様相を示していること、原住民を大量虐殺しながら自らの国土を造っていった歴史が旧約聖書の記述に類似していることなどをみても、それは最初から純然たるキリスト教とは言いがたい面を持っている。

 ゼヴィの父親はオスマン帝国の英国代表部のエージェントとして働いていたのだが、元々神秘思想にかぶれたゼヴィがこの潮流に目をつけないはずはない。彼はわずか20歳のときにすでにスミマで「イスラエル王国を再建すべく神に選ばれたメシア」として名乗りを上げていたのだ。イスラエル王国を再建? そして「メシア」に成りすました彼は小アジア〜東欧各地のユダヤ共同体の中で歴史的に「サバティアン」と呼ばれるようになる信奉者を増やしていく。

 彼の主張の際立った特徴は反道徳主義であろう。すでにこの世にメシアが登場したからにはもはや人間から罪は消えた、ゼヴィに従う限り何をしてもそれは罪として数えられない。恐ろしい発想だがこれは何もゼヴィが発明したものではないしユダヤ教起源のものでもない。キリスト教にも仏教にも同様の傾向は存在する。しかしゼヴィの場合は際立っていた。彼は1666年にオスマン当局に弾圧されそうになるとイスラム教に改宗しアジズ・メヘメットと名乗った。それをユダヤ教徒から非難されると「イスラム教徒をユダヤ教に改宗させる方便だ」と答えたのだが、一方でオスマン帝国のスルタンに対しては「ユダヤ教徒をイスラム教徒に改宗させる」と語ってその関係を維持し、イスラム教徒の間にもそのセクトを広げた。

 彼とその信奉者たちにとって奪うことや殺すことはもとより、二枚舌を用いて騙すことは何一つ罪にはあたらない。こうして彼らの間から道徳と法を規定する唯一絶対の神は消えた。ゼヴィは1676年にモンテネグロで死亡したが、「イスラエル王国を再建すべく神に選ばれたメシア」の思想的影響は強烈に東欧と小アジアのユダヤ人たちの間に根付いていったのである。ここで注意深い読者なら、このような発想が現在のシオニストのそれに瓜二つであることにハッとさせられるかもしれない。

 信心深い旧来のユダヤ人の中にシオニストたちを「偽メシア」と呼ぶ人たちがいる。彼らがこのサバタイ・ゼヴィを意識しているのは明らかであり、その潮流の中にシオニズムの起源を見出しているのだろう。そしてこの堕落し果てた偽メシアのユダヤ人がこの時代にすでに英国とトルコとユダヤ社会の間をつないでいたことを忘れてはならない。彼は「イスラエル王国再建」のためにトルコを利用しようとした。ゼヴィの父親が仕えた英国がその動きを掌握していなかったはずもあるまい。19世紀末に登場する新たな「偽メシア」はこのような土台のうえに活動を開始したのである。前回お知らせしたアルメニア人虐殺を実行した「青年トルコ運動」の主力にこのサバティアン・セクトの末裔が多数含まれていた。

【以上、参照資料】
http://en.wikipedia.org/wiki/Shabbatai_Zevi
http://www.kheper.net/topics/Kabbalah/antinomian.htm
http://www.rense.com/general64/zzzio.htm 


[偽預言者の系譜]   【小見出しに戻る】

 この極めて人間的な劣悪で危険な思想が相当な数の人間に影響を与え思考を狂わせ続けていくだろうことに疑念の余地はあるまい。東欧のユダヤ人内部でじきに新たな「メシア」が登場することになる。ジャコブ・フランク(1726-1791)である。彼はサバタイ・ゼヴィおよびダビデ王の生まれ変わりを自称し、東欧から西欧一帯のユダヤ人社会に大きな影響を与えた。当時彼らは、東欧各地で王侯貴族の庇護の元に経済と小工業生産や流通を取り仕切り、各地域の中で大きな政治的影響力を誇っていた。

 フランクは当時ポーランド領であったウクライナで生まれたといわれるが、父親はやはりサバティアンであった。当時のポーランドには数多くのサバティアンの秘密組織が存在したのである。当然だが伝統的なユダヤ教ラビたちはサバティアンを厳しく禁じ取り締まった。しかしその人間の悪徳と貪欲と狂信を一身に集めたこのメシア思想が簡単に消えて無くなるわけもない。中流クラスのユダヤ人たちの多くが徐々にこの悪魔的思考「フランキズム」に取り付かれていく。

 フランクとその支持者達はポーランドの伝統的ラビたちから危険視され何度もそこを追い出されるのだが、彼らはタルムードを捨てカバラとゾハールを信奉し、そして非常に奇妙なことに、それがキリスト教の神秘思想である「三位一体」の考えと矛盾しないことを主張した。

 思想的に言えば、強烈なメシア主義とともに、やはりフランキズムの反道徳主義を指摘する人が多い。サバティアンの中から出てきた以上当然のことなのだが、善と悪の概念を区別しない、あるいは都合に従ってその名目上の境目を消したり動かしたりできるのである。もちろん自ら「メシア」を名乗る者の都合である。欺くこと、破壊すること、殺すことの全てがその都合に従って「悪」から「正義」へと移項されるのだ。

 彼がゼヴィの後継者であると名乗り始めてから、ちょうどこの大先輩がオスマン帝国に取り入り二枚舌の改宗を行ったのと同様に、ローマカトリックに近寄り洗礼まで受けてしまった。1759年の話である。その後、フランクに率いられるサバティアン系統の中流クラスのユダヤ人たちが続々と彼に倣った。同時にそのかなりの部分がプロテスタントにも「改宗」することになる。このようにしてキリスト教に浸透したユダヤ人たちはその中でそれぞれの宗派の伝統的精神を腐らせていくことになるのだ。なぜなら、彼らがカトリックやプロテスタントの信徒でありながら同時にフランクやゼヴィのメシア思想に従うことができたからである。彼らに道徳は無い。どこにいてもその信仰、思想、信条を変えないままにフランクの使徒たりえたのだ。

 伝統的なユダヤ人たちは、現在でもそうだが、彼らを「フランキスト」と呼んで軽蔑し警戒した。しかしこの流れもまた、現在のキリスト教シオニスト、カトリック・シオニストの大流行を考える上に大きなヒントとなるだろう。これらは決して100年やそこら続いた程度の動きではないのだ。

 ジャコブはその後ローマから疎んじられポーランド当局に逮捕されたりもするが、ドイツに移り住みフランクフルトを経てオッフェンバックで豪勢な生活を送った末に、娘を後継者に指名して1791年に死亡した。彼の重要なパトロンが後にロンドンとパリを支配することになるフランクフルトのロスチャイルド家でありその周辺にイエズス会のアダム・ワインハウプトがいたことは説明の必要もないだろう。

 彼の言動の中で注目すべきことがある。彼はカトリック教会に対しては「ユダヤ教は旧約聖書にあるヤコブでありカトリックはエソウである(旧約聖書ではヤコブは弟のエソウを騙して殺しそれを知った神はヤコブをエデンの東に追放したとされる)。いまやヤコブとエソウの仲直りのときが来ている」と語り、その一方で自分の支持者に対しては「聖書にあるヤコブのようにキリスト教徒を騙してパレスチナの地に反キリストの王国を建設するのだ」と、大先輩に習って二枚舌を弄した。パレスチナの地に反キリストの王国? まさに現代イスラエルのイメージそのものではないのか?

 彼の支持者の中にはキリスト教とは逆に啓蒙思想に走り、フランス革命を支持しあるいは積極的に参加した者も多くいた。フランス革命が新興ブルジョアジーの革命でありその中にユダヤ人中産階級が多く含まれている以上当然のことといえる。ジャコブ・フランクをむしろ「ユダヤ人に啓蒙思想をもたらした人物」として、さらには「近代世俗思想とフェミニズム」そして「シオニズムをもたらした人物」として紹介する者も多い。こうして彼らはカトリック、プロテスタント、そして世俗主義のそれぞれの内部で強力なグループを作り、西欧から東欧、北欧からトルコ、そして北米大陸にいたる主要な世界の隅々にまで浸透していくこととなるのだ。
《注記:この点についてはひょっとすると、19世紀末から20世紀初期にかけて、カトリック内部で起こっていた「シヨン運動」とのつながりがあるのかもしれない。こちらの「聖なるマフィア オプス・デイ」の「第7部:十字架とダビデの星(上)」にある[シヨン運動と第2バチカン公会議]を参照のこと。》

 特に啓蒙思想に流れた者達の動きは巨大である。それはアメリカ革命(独立)、フランス革命、トルコ革命、そしてロシア革命に至る近代の革命にとって原動力の一つとなっている。このような革命思想が全てある種の「世俗的メシア思想」であることに注目しなければならない。そして・・・、その「世俗的メシア思想」の中にシオニズムもまた含まれている。それは近代ユダヤ人社会の中で脈々と受け継がれるサバティアンの流れから登場して来たのである。ここでも東欧とトルコが鍵を握っているのだ。

 社会主義者で左派シオニストと一般的に呼ばれるダヴィッド・ベン・グリオン、モシェ・シャレット、イツチャック・ベン・ズヴィなどがイスタンブールに住みそこで学び(ベン・グリオンはロシア国籍を捨ててオットマン帝国の国籍を得ていた)、共産主義者アレクサンダー・パルヴスが「青年トルコ革命」を援助し、ファシストであるウラジミール・ジャボチンスキーが革命運動機関紙の編集長を務めたことなど、何一つ不思議には当たらないのである。

【以上、参照資料】
http://www.kheper.net/topics/Kabbalah/antinomian.htm
http://www.rense.com/general64/zzzio.htm
http://en.wikipedia.org/wiki/Jacob_Frank
http://www.aranpa.com/smoked%20glass.htm
http://www.rense.com/general49/hhee.htm 


[重層社会としての欧州]   【小見出しに戻る】

 どうしても我々は国境を元にして世界地図を垂直方向に切って考えてしまう癖が付けられている。これは日本が孤立した島国であることの影響もあるだろうが、主要にはむしろそのような学校教育の結果だろう。実際には地面にへばりつくように生きる下々の者達以外にとって、国境など存在しないのである。超国家組織とそれが伸ばす網の目は、陸続きの欧州では数百年、千数百年も昔から当たり前なのだ。

 その典型的な例がローマ教会であり王族や貴族による「高貴なる血(青い血)のネットワーク」である。またローマ教会がラテン語という共通言語によってその支配の網を維持したのだが、その上に乗って近代の科学者や哲学者のネットワークが形作られた。さらにはその科学者集団の原形である錬金術師、そしてフリーメーソンの起源であろうといわれる建築家たちの動きにも国境など存在しなかった。

 その国境の無い人と富と思想の流れの中にユダヤ人グループのそれがあったことは言うまでもない。15世紀末にスペインを追放されたセファラディ・ユダヤも、それ以前にハザールの滅亡によって東欧に散ったアシュケナジ・ユダヤも、常に各地の王侯貴族の下でその経済を支える同時に共同体同士で常にオープンな通路を保っていた。

 国境線によって垂直に区切られた世界認識では、このような実際の欧州の姿、そして現在の世界の姿は見えてこない。さらには今まで述べたように、それぞれの超国家集団の間に相互の浸透があり、やがて一方が片方を支配するようなこともあるだろう。これは何か特別な陰謀などではない。重層社会としての欧州では至極当たり前のことに過ぎないのである。

 サバタイ・ゼヴィ、ヤコブ・フランクといった、人間の持つ権力への願望と劣情と狂気を最大限に引き出す文字通りの「偽メシア」の思想は、ユダヤ人社会が昔から持っていた通路を通って一気に欧州と小アジアに広まり、それがイスラム教とキリスト教、そして世俗主義の中に根深く浸透していった。それはあたかも血管を伝わって広がった毒が体の様々な組織の中に染み込み体中の細胞を犯していくように、欧州と北米の社会をガンジガラメにしていくのである。

 そしてそれは最初から「パレスチナのイスラエル王国再建」を目指すものであった。根っからの無神論者であるダヴィット・ベン・グリオンやゴルダ・メイヤなどがパレスチナを「約束の地」と語る心情に決して嘘はあるまい。彼らは、2000年前にパレスチナを追われたユダヤ人の系譜ではなく、この偽メシアの系譜に属しているのである。「パレスチナ人などはいなかった」とうそぶくメイアの姿は、まさにサバティアンとフランキストの反道徳主義をそのまま語っただけである。最も大切な同盟国アメリカの軍艦を襲撃して皆殺しにしようとしたシオニスト・イスラエルの姿、パレスチナ人に対するアパルトヘイトと虐殺の政策、そして虚構と脅し米国人を見張り資産を巻き上げる米国シオニストの姿、アルメニア人を騙して扇動し数十万人を殺したサバティアンの子孫の姿、チェカとNKVDを主導して数百万のロシア人を虐殺したユダヤ人共産主義者の姿、さらには無数のユダヤ人同胞を未曽有の苦難に放り込み見殺しにした シオニストたちの姿、…、これらはすべてこの偽メシアの系譜に属している。

 19世紀後半に盛んになった反ユダヤ主義に対する反応として生まれたシオニズムなどといった、特に左翼が好みたがる通説が、いかに上っ面だけの真相を覆い隠すたわごとに過ぎないのかは明白であろう。

【以上、参照資料】
http://www.rense.com/general64/zzzio.htm
http://www.isreview.org/issues/04/zionism_false_messiah.shtml
http://www.rense.com/general49/hhee.htm 


[シオニズムとは?]   【小見出しに戻る】

 自ら「陰謀論者」を名乗る不思議な「反ユダヤ主義ユダヤ人」ヘンリー・マコウは、いわゆる「ユダヤの陰謀」およびシオニズムの本体を大英帝国主義の中に見ている。当然だがその大英帝国の中枢部はロスチャイルドを筆頭とするユダヤ系資本に握られる。しかしロスチャイルドの到着以前にも、大英帝国の基礎固めの時期である16〜17世紀にはオランダやポルトガルから大量のユダヤ人が英国に移り住み支配階級の間に強力なネットワークを築き上げていた。遅れてフランクフルトからやってきたロスチャイルド家はその土台なかで頭角を現した。
《注記:これらの点に関するヘンリー・マコウの主張は『「ユダヤの陰謀」の正体は大英帝国主義である』および『シオニズム:ユダヤ人に対する陰謀』をご覧いただきたい》

 そしてそのロスチャイルド家がジャコブ・フランク最大のパトロンであった。英国が近代シオニズム発祥の地であったとしても何の不思議も無いのだ。大英帝国はそのスパイ網を東欧・ロシアから中東一帯に張り巡らせていたのだが、オスマン帝国内でのトルコ革命やロシア革命がユダヤ人主導の元に行われたと同時に、それらを大英帝国のスパイ網が逐一キャッチしコントロールしていたことに疑念の余地はあるまい。欧州の重層社会と水平に広がる様々なネットワークを知る者にとってはほとんど常識の部類であろう。

 マコウもその一人なのだが、敬虔で真面目なユダヤ人、正義感と道徳観に溢れたユダヤ人の中には、シオニスト(サバティアン、フランキスト)こそが反ユダヤ主義を必要としており反ユダヤ主義の源泉の一つであると見る人が多い。19世紀後半からロシアに吹き荒れたポグロムの嵐やドレフュス事件などを最も上手に利用したのがシオニストであったことは誰の目にも明白である。

 あのウラジミール・ジャボチンスキーが、9百回に近いポグロムを指導しおよそ3千名のユダヤ人を虐殺したシモン・ペティルラと同盟工作を行ったことにも別に何の不思議もあるまい。彼を単なる「ユダヤ人の裏切り者」と見なすのは片手落ちであろう。彼が17世紀以来の「偽メシアの系譜」につながっていると仮定すればすべての筋が通る。この系譜は東欧を中心にしてすでに強力なネットワークを築き上げていた。彼らにとって道徳などは存在しないのだ。道徳の存在しないところに裏切りなどは無い。全てが正当な行為に過ぎないのである。現実が狂気を産み出すと同時に、狂気が現実を生み出すこともありうることを忘れてはなるまい。

 そしてその「偽メシアの系譜」はパレスチナにイスラエル王国を再建することに照準を絞る。しかしそんなちっぽけな願望でこのような狂気が産みだされるのだろうか。ここでこの偽メシアの思想がキリスト教の中から生まれた千年王国の思想と合体していることを思い起こす必要があろう。彼らにとってイスラエル王国の再建は、そのまま世界の絶対的支配につながる重要なステップなのだ。馬鹿馬鹿しいと思わずにヨハネの黙示録をめくってみていただきたい。

 おそらく20世紀のイスラエル建国はその一つのステップであり、イスラエルの建国とその維持のみに絞った狭い意味のシオニズムは単なる方便に過ぎまい。シオニストの働きは世界的なものである。日本でさえすでにガンジガラメにされている。英国はもとより、フランスではサルコジのシオニスト政権がすでに誕生しており、ドイツのメルケル政権は完全にシオニストの主中にある。その流れは米国を席巻した後、確実に欧州に還流しつつあるのだ。

 あのパレスチナの痩せたちっぽけな土地を確保する、あるいはせいぜい中東地域での覇権を確保する、などといった目でシオニズムとイスラエルを見ていると、とんでもない間違いを犯すことになるだろう。彼らの本体は、もし現在のイスラエルが不要になれば巨大な中東戦争を演出することでイスラエルを消滅させ、再びユダヤ人の大虐殺を引き起こすことすら厭わないだろう。彼らにとっては世界支配の意思があるのみでありすべては方便の世界なのだ。これこそ人類最大の悪夢、最大の狂気に他ならない。

 次回はこのシリーズの最終回としてこの10回の連作をまとめ、日本で今までほとんど紹介されることのなかったジャボチンスキーとユダヤ・ファシストの流れについて、その悪夢と狂気を表にさらすことによって、イスラエルの暗黒の源流を確認してみることにしたい。

【以上、参照資料】
http://www.the7thfire.com/new_world_order/illuminati/Henry_Makow/jewish_conspiracy_is_british_imperialism.htm 

イスラエル:暗黒の源流  ジャボチンスキーとユダヤ・ファシズム 目次に戻る    (アーカイブ目次に戻る)

inserted by FC2 system