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ジョナサン・コールのビデオ(日本語字幕付き)

9・11と実験:鋼材を溶かした硫黄はどこから来たのか?


 以前にこのサイトでお知らせしたジョナサン・コールのビデオ「9/11実験:不可能なものを消去せよ」は、ビデオ中の説明にかける時間が切り詰められ、見ていても分かりにくい作品だった。しかし今回日本語字幕付きでお見せするこの作品では、その欠点が修正され見やすいものとなっている。前回のビデオのような各シーンごとの説明はしないので、そのままご覧いただきたい。

●新しく公開された日本語字幕付きのビデオ

   911実験:謎の"共晶鋼"(日本語字幕付き) The Mysterious Eutectic Steel by Jonathan Cole - Japanese
    https://www.youtube.com/watch?v=mqCismkt4QU
 (ジョナサン・コールの実験ビデオは今後も新しい日本語字幕版が登場する予定である。字幕なしの英語版はこちらで。)

 ただ内容面で言うと、このビデオには最低でも高校レベルの化学の知識(あるいはそれ以上の専門知識)が必要とされる部分があり、少々とっつきにくいかもしれない。さらに、9・11事件に対する米国の公的な機関による調査とその報告、その問題点(調査した機関自身も認めている)とそれに対する議論についての知識が無い場合には、いったい何が問題にされているのか、作者のJ.コールがビデオ中で行っている実験がどんな意味を持っているのか、よく理解できないことと思う。

 そこで、上記のビデオをご覧いただく前に、予備知識として、いくつかの重要な事実を確認・理解してもらいたい。

 
(1)WTC(世界貿易センター)第7ビルの崩壊と政府機関の調査

 2001年9月11日のいわゆる9・11事件で、ニューヨークWTC(世界貿易センター)のツインタワー(第1、第2ビル)が、それぞれ大型ジェット機に激突され、短時間の火災の後に、400m以上あったビルの頭の天辺から付け根までの全てが、粉々に砕け吹き飛んで、崩壊した。そしてその7時間後、WTC地区の端にあって飛行機の激突を受けなかった48階建ての第7ビルが、散発的な火災が続いた後に、突然崩壊し始め、7秒以内でビル全体がペシャンコにつぶれた。
(この事件で起きたWTCビル群の火災と崩壊の様子はこちらにある数多くのビデオ に記録されている。ツインタワーの概要については
こちらの基礎データを、第7ビルの概要、崩壊の仕方とその特徴は「WTC第7ビル崩壊:資料」を参照のこと。)

 事件翌年の2002年5月にFEMA(米国緊急事態管理庁)はWTCビル群崩壊についての調査報告書(World Trade Center Building Performance Study )を公表した。これはFEMAの委託を受けた全米土木学会(ASCE)の学者たちによる調査・研究を基にしたもので、ツインタワーについては、飛行機の激突とそれによって起こった火災で崩壊したという推測を、何の実証的な説明も抜きで発表した。しかしFEMAは、第7ビル全面崩壊の原因について、一応「ツインタワー崩壊による衝撃と、ビル内にあった燃料オイル火災によるもの」と推定したうえで、次のように述べて他の研究機関にその究明の下駄を預けてしまったのだ。(強調は引用者)

WTC第7ビルの火災の特質と、それがどのようにしてビル崩壊を引き起こしたのかは、現在の時点では不明のままである。燃料オイルは合計して巨大な潜在的エネルギーを持ってはいたのだが、最も良い仮定をしても(崩壊が)起こる確率はほんの小さなものに過ぎない。この件を解決するためには更なる研究と調査と分析が必要とされる。

 そして「下駄を預けられた」形のNIST(米国国立標準技術院)は、それから6年以上もかけてようやく2008年11月にWTC第7ビル崩壊についての調査報告書を公表できたのだが、彼らの説明は、公表と同時に!哀れにも自己崩壊してしまった。
(「WTC第7ビルはなぜ自由落下した?」およびこちらの記事をご覧いただきたい。)


(2)第7ビル残骸の鋼材とFEMA報告書の指摘

 しかしFEMAが下駄を預けた難問はビルの崩壊の仕方だけではない。FEMAの委託を受けた研究者の一人、ジョナサン・バーネットとそのグループは、第7ビルの残骸にあった鋼材の中にとんでもないものを発見してしまったのだ。彼らはその調査と分析の結果をFEMA報告書付録Cの中に収めた。写真はその報告書にあるものだが、英語が分かり専門知識をお持ちなら、この報告書付録Cに目をお通し願いたい。

   
(写真左:http://911research.wtc7.net/wtc/evidence/metallurgy/images/WTC_apndxC_img_1.jpg
 写真中:http://911research.wtc7.net/wtc/evidence/metallurgy/images/WTC_apndxC_img_2.jpg より
 写真右:
http://911research.wtc7.net/wtc/evidence/metallurgy/images/WTC_apndxC_img_8.jpg より)

 分厚い建築用鋼材が溶かされ、巻紙のように薄くなり、中には「スイスチーズ状」に穴があいているものすらある。これらは非常な高熱によって鋼材の一部が融解したものなのだ。しかし奇妙だ。オフィス火災や石油類による火災に建築用鋼材面を溶かすほどの高熱を求めることは全く不可能である(鋼鉄の融点は1400〜1500℃)。いったいどうしてこれらの鋼材はその一部が溶け落ちてしまったのか。

 その秘密は下にあるエネルギー分散型X線分析の結果で明らかにされた。溶けて固まった鋼鉄から硫黄を大量に含む部分が発見されたのだ。ここには酸化鉄(FeO)と硫化鉄(FeS)の結晶が、境目の分からない形で混融するのではなく、はっきりとそれぞれの結晶と分かる形で混ざり合っている。一般的に、このような、合金などが凝固する際に2種類以上の物質がそれぞれの独自の固相を作って結晶する現象を共晶(きょうしょう、eutectic)、そしてそのような状態の混合物を共融混合物(eutectic mixture)と呼ぶ。

 
(写真左:http://911research.wtc7.net/wtc/evidence/metallurgy/docs/WTC_apndxC_img_11.jpg
 写真右:http://911research.wtc7.net/wtc/evidence/metallurgy/docs/WTC_apndxC_img_7.jpg

 温度が高く液体状の時には全くそんな「境目」は無く一様にどろどろに混ざり合っていても、それが凝固する際にこのようなことが起こる場合があるのだ。そして、いくつかの物質が混ざり合ってこのような共融混合物が作られる場合、特に鋼鉄に硫黄が混入すると融点が大きく下がることが分かっている。硫黄がある理想的な割合で混ざって硫化鉄と酸化鉄の共晶が作られるような場合、ひょっとするとひょっとして、ビル火災でも鋼材が溶けるようなことがあるのかもしれない。しかし、硫黄は金属を非常に劣化させるため、硫黄の含有量の高い鋼鉄を建築用鋼材とすることなどありえない。

 日本では大抵の中学の理科の教科書に硫黄と鉄を反応させて硫化鉄(FeS)を作る実験が載っているだろう。この硫化鉄は硫黄の単体(たった1種類の元素からできている純粋の物質)が無いと作られない。それ以外の製法を少なくとも私は聞いたことがないし、こちら のWikipedia記事にもそれしか書かれておらず、もし他にあったとしてもよほど特殊な状況下でしかあるまい。つまり、上の第7ビルの建築用鋼材が融解したときに、そこに硫黄が単体の形で存在したということになる。
では、この硫黄は、いったいどこからやってきたのか?


(3)硫黄は石膏由来?

 一部の学者はビルの壁面を覆っていた石膏ボードの石膏が熱で分解されて単体の硫黄が現われてきたのでないかと推定した。石膏は硫酸カルシウムが主体の物質であり、確かにその成分として硫黄を含んでいる。石膏については
こちら、また硫酸カルシウムについてはこちらにあるWikipediaの説明を、また石膏ボードについてはこちらの吉野石膏からの説明をご覧いただきたい。

 石膏ボードに使う石膏はその中に重量比で21%もの結晶水を含んでおり、これが大きな耐火性を持つ理由になっている。しかし長時間高熱にさらされた場合には水を失って結晶が崩れ硫酸カルシウムの粉末になるだろう。ではそれが熱分解されて硫黄が現われてくるのだろうか。先ほどのWikipediaの説明には次のように書かれており、どうやら1000℃以上でも硫黄の単体は期待できそうにない。
1000℃以上に加熱すると僅かに分解し少量の三酸化硫黄を生成して酸化カルシウムを含む固溶体を生成する。これは少量の水を吸収して固化するため、モルタルなどに使用される
 いったい1000℃をこえて何度になれば単体の硫黄が作られるまでに分解されるのだろうか。私は今までにどう調べてもそんな化学式に出会ったことはないし、そのような熱分解の温度や条件について書かれているものを見たことも無い。

 通常のビル火災の温度はせいぜい数百度だと言われる。灯油が十分な酸素を供給されて完全燃焼をした場合なら1000℃近くにまでは達するようだが、しかしビル火災でビルの中の可燃物が完全燃焼することはまず考えられない。実際に
第7ビルの火災のビデオを見ても、真っ黒な煙を出して不完全燃焼が起きていることは明らかであり、火災の温度はやはり数百度が精いっぱいだろう。しかも可燃物が燃え尽きて無くなればその場所での火災は終ってしまう。第7ビルの火災でもそうだった。これでは1000℃に達することすら不可能のように思われる。それとも、石膏の近くで燃える様々な物体の種類や燃え方などによって、低い温度で硫黄が作られる極めて特殊な状況でも作られたのだろうか。

 この「石膏説」を出した学者自身、厳密な実験でそれを確認しなければならないと語り、決して断定はしなかった。しかし、マスメディアはこの「石膏説」をあたかもすでに確定した事実であるかのように宣伝した。そして何の知識も認識も持たない多くの人々が「石膏説」を信じ込み、一方でNISTなどのアメリカの公的研究機関はもとより世界中の多くの学者や専門家は、実験のために指一本動かすわけでもなく、ただそっぽを向いて口をつぐんだだけだった。
 

(4)硫黄は焼夷剤「サーメイト」由来?

 この石膏由来の仮説に対抗する仮説が、鋼材を溶かす目的で使用された焼夷剤サーメイト(thermate)に含まれる単体の硫黄であるとする説である。昔から鋼鉄製品を溶かして破壊する手段として、アルミニウムの粉と酸化鉄を使うテルミット(サーマイト:thermite)が使われている。テルミット自体が2000℃を超す熱を出し鋼鉄を溶かすには十分なのだが、それに硫黄を混ぜるとはるかにその効率が上がることはよく知られている。これなら最初から硫黄の単体を含んでおり、話は簡単だ。ちなみに、これらのものは爆発する性質を持っておらず、高熱を発する「焼夷剤(incendiary)」と呼ばれる。

 もし第7ビルの崩壊にサーメイトが関与したのであれば、容易に上で述べたような共融混合物を作ることができるだろう。さらに、この物質が第7ビルの支柱構造を破壊し、崩壊の前半でビルの上層部が30mほどの距離を自由落下(全く抵抗が無く地球の重力だけで起こる落下運動)した現象に対しても、合理的な説明が可能かもしれない。ところが第7ビル内にたまたまサーメイトが大量に蓄えられていたというような報告は無い。

 つまり、人間が第7ビルを破壊する目的で意図的にサーメイトを仕掛けたもの、ということにならざるをえない。そういうことなら、それは明白な犯罪行為であり、誰がそれをやったのか、なぜそれをやったのか、という追求が必要となる。そしてその追求は第7ビルにとどまらないだろう。ツインタワーの崩壊から911事件の全体、そしてこの911をきっかけにアメリカが開始した「対テロ戦争」そのものにまで及ばざるをえまい。これは必然的に、全地球的に極度に重大で深刻な政治問題と化してしまう。何よりもアメリカという世界帝国自体が崩壊と存亡の危機に立たされることだろう。

 悪いことに、第7ビル鋼材に見つかった硫黄を大量に含む共晶の原因については、「石膏説」と「サーメイト説」の二つしか出されていないのだ(第7ビル自由落下については人為的破壊説以外には存在していないが)。ということは、この「石膏説」が否定されるなら、「第3の仮説」が登場しない限り、もう片方の「サーメイト説」が肯定されるより他になくなってしまう。このことは、今からの我々の世界にあまりにも重大な(ひょっとすると致命的な)影響を与えることになるだろう。そしてこの「石膏説」が否定されるか肯定されるかを決定するのは、千や万の理屈ではない。理想や信念でもない。話し合いや論争などでもない。それを決定するのは、唯一実験である。
 

(5)実験

 百万時間をかけた議論など、たった一つの実験結果の前に一瞬で吹き飛んでしまうだろう。ちょうどガリレオ・ガリレイがピサの斜塔で行った一つの実験がギリシャ以来の「科学」を吹き飛ばしたように…。

 ここから先は最初に紹介したビデオをご覧いただきたい。実験では「石膏説」を完全に否定する結果が出たのだが、それについてビデオ作者のジョナサン・コールがビデオ後半で語っていることを載せておく。
「大抵の人は9.11の背景にある科学が意味することを受け入れられず、私が間違っているに違いない考えます。もし私が間違っていると思うのなら…、それを実験で証明して下さい。」

 そう! このビデオで彼が行った実験結果に納得できない人がいるのなら、自分で、コールよりも厳密で的確な実験を行って、コールが出した結果が誤っていること、そして、石膏から出てきた硫黄によって鋼材が融解したに違いないことを、公開の形で示さねばならない。それができないのなら、コールの行った実験の結果を正しいと、つまり、WTC第7ビルの鋼材を溶かした硫黄が石膏から出てきたものではないと認める以外には無い。

 その後に、もう一つの仮説である「サーメイト説」を検討し、もしそれが間違っていると言うのなら、実験によってその誤りを示さねばならない。そのうえで「第3の仮説」を公開し、実験によってその正しさを公開で証明すべきである。ちなみに、いわゆる「公式説」を正しいものとし懐疑論を「デバンク(論難)」する人が跡を絶たないのだが、そのような人たちが実験を行いその結果と詳細を公開の場に曝すことによって「公式説」の正しさを証明したような例は、一つとして存在しない。きっとそれが不可能なことを自分でも分かっているのだろう。

【参考資料】
物理学者ジェフ・ファーラーのインタビュー・ビデオ (日本語字幕付き)
化学工学技師マーク・ベイシルのインタビュービデオ(日本語字幕付き)
9-11 Research : Forensic Metallurgy (英文記事)
 
(2014年8月10日 バルセロナにて 童子丸開)
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