このシリーズの基調論として、World Socialist Web Siteから、 Poverty, Hunger
and Inequality Grow in Spain(October 30, 2012 Alejandro
López著)の和訳をご覧いただきたいと思います。この記事は同じ日付でGlobal Research誌にも掲載されました。こういったスペインの情報が英訳されて紹介されることはあまりにも少なく、そのため、日本に紹介されることもほとんど無いでしょう。スペインからの直接の情報を、こうやって日本に送り続けているのは、私くらいのものだと思います。
この文章に書かれていることは、EU第5位、ユーロ圏第4位の経済規模とされるスペインで起こっている現実の、ごくごく一部です。しかも、著者のアレハンドロ・ロペスが調べた資料はやや古いものもあると思われ、実際にはもっと醜い状況です。スペインはいま加速をつけて、以前にネオリベラリズムのカモにされた中南米諸国の状態に近づいています。そしてそれに、ポルトガル、イタリアなどの南欧諸国が、ひょっとすると欧州全体が、続いていくのかもしれません。
訳文中の(1)
(2)…は注釈ですが、そこに2012年11月の段階で手に入る最新の情報を掲げておきましょう。
そしてこの英訳を初端として、いま現在のスペインの社会状況を次々とありのままにご報告していくことにします。より詳しいご理解のためには、「幻想のパティオ 目次」から、「シリーズ『スペイン経済危機』の正体」、「515スペイン大衆反乱」をお読みください。
シリーズの予定としては、このWorld
Socialist Web
Siteの記事から出発して、上下に分裂し階級間の対立を激化させつつあるスペイン社会の様子を最新情報から拾っていきます。次に、非常に不可解な様相を示すカタルーニャやバスクの分離独立運動と、それに象徴される地理的な分裂、スペイン支配層の強権的・暴力的支配の劇的な強化、そしてそれらと平行して進められる欧州再編成の動きなどを、特集していきたいと思います。欧州はきっと、「民主的に選ばれたピノチェットやビデラ」の支配する地域になっていくのでしょう。ただ、現実の展開の仕方に応じて以前のテーマの続編を書いていくこともあるでしょうし、情勢の変化で予定通りにいかないこともありえます。
いずれにしても、スペインに特化した最新の現地からの情報を、常に発信し続けていく予定です。それは、「まさかそんなことが欧州で起こっいるはずはあるまい」とお思いになるかもしれない、あまりにもむごい現実かもしれませんが、ご愛読のほどをよろしくお願いします。
(2012年11月初旬 バルセロナにて 童子丸開)
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【引用、訳出開始】
World Socialist Web
Site 記事より
スペインにおける貧困と飢餓と格差の増大
アレハンドロ・ロペス著
2012年10月30日 World Socialist Web Site
公式発表による失業率は現在25%であり(4)、25歳未満の若者では53%である。人口動態調査(Active Population
Survey)によれば、その構成員の全員に職のない家族の数は170万にのぼる。公共職業安定所に登録される者たちの中で、わずかに67%が何らかの国家による救済や至急を受けているに過ぎない。