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和訳:ロシア国営RTのニュースより

プーチン:国連総会の演説で

難民危機の元凶「民主主義革命の輸出」を糾弾


 先日私は、現在欧州を襲いつつある「難民危機」についての記事『現在進行中 2005年に予想されていた現在の欧州難民危機』を書いた。その中で難民が主要に、アフガニスタン〜パキスタン、イラク、シリア、スーダン、リビア、ソマリアなど、米欧の「貨幣神崇拝者」による戦争・不安定化政策の場となった国々から現われていることを明らかにした。

 もう少し突っ込んで言えばそれが、2001年の9・11以来、それらの国々に、米国とその傀儡どもの武力と謀略によって「民主主義」が導入された必然的な結果であることを、明確に指摘しなければならない。その「民主主義革命の輸出」を支持してきたマスコミや評論家・専門家、「人権」活動集団が、難民が出てくる《元》について一斉に口をつぐむはずである。このような、意図的にそれに加担してきた人々や集団は、自分が加わった犯罪を覆い隠しておきたいだろう。しかし、共犯の意図はなく愚かにもそれを称賛してきた人々は、早くその愚かさに気付いてそうと認め、この難民問題の元凶の方に目を向けてもらいたいものである。

 この9月28日に、ニューヨークで行われた国連総会の場で、ロシアのプーチン大統領がこの「民主主義革命の輸出」を厳しく糾弾し、それが現今の「難民危機」の根本原因であることについて、世界中に警告を発した。やっとのことで、これほどにまともで当たり前のことを公式に発言する国家首脳が現われたわけだ。例によって貨幣神の眷属である西側の報道機関では全く触れられていない。プーチンは国連を通して「テロ=輸出された民主主義」との戦いを呼びかけているが、さぞかし耳の痛いことだろう。

 このところロシアはシリアのアサド政権に対する直接の軍事支援とイスラム国(ISIS)への攻撃の方針を明確にしている(近頃イスラム国を単独で爆撃したフランスはこれに乗ってきたのかもしれない)が、この国連総会の場での発言は、そのロシアの基本外交を正当なものにするための重大な手続きなのだろう。またプーチンは米国の「例外主義と免罪の政策(アメリカは無前提に例外的な国であり、何をしてもその罪を問われず罰せられることはない、という考えを基盤にした政策)」 を、米国大統領オバマの眼の前で手厳しく非難する。

 今回の翻訳(仮訳)に用いたのはロシア国営RTの次の記事である。
http://www.rt.com/news/316804-putin-russia-unga-speech/
Violence instead of democracy: Putin slams ‘policies of exceptionalism and impunity’ in UN speech (Published time: 28 Sep, 2015 16:16Obama to UN: US ready to work with Russia and Iran on Syria
 オバマは貨幣神崇拝者の意のままに、安定していたリビアに「民主主義革命の輸出」をやらかして、そこをテロリストの巣窟に変えてほったらかしにしているのだ。いまさらそんなことを言われても、その結果としてリビアからの「難民」をいやというほど受け入れなければならないイタリア人にとっては怒り心頭だろう。

 訳文のプーチンの発言の中で、ウクライナ問題に関しては私のサイト「現代世界:虚実の皮膜 」にあるウクライナ関連記事をご参照いただきたい。また今回のテーマに関連して、次の「田中ニュース」の公開記事の内容が参考になると思われる。
シリア内戦を仲裁する露イラン
クルドの独立、トルコの窮地
ロシア主導の国連軍が米国製テロ組織を退治する?

 なお、以下の翻訳の文中で、字体と色を変えて書かれている部分は原文で斜体で強調されている個所(プーチンが国連総会で行った演説の一部)である。また原文に挿入されている写真やビデオ、ツイッターの説明とそのUrlも色や字体を変えて文章中に配した。

2015年9月29日 バルセロナにて 童子丸開


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民主主義ではなく暴力:
プーチンは国連演説で「例外主義と免罪の政策」をこき下ろす

2015年9月28日

写真:https://cdn.rt.com/files/2015.09/original/560968bcc46188942a8b45c3.jpg
ロシア大統領ウラジミール・プーチンはニューヨークの国連本部での第70回国連総会の中で出席者に演説する(September 28, 2015. © Mike Segar / Reuters) 

 いわゆる「民主主義」革命の輸出は引き続いているが、それは貧困を一気に拡大させ、民主主義の勝利ではなく暴力を解き放ってしまった。このように、ロシア大統領ウラジミール・プーチンは国連総会での演説で述べた。

 イデオロギー的なより好みに基づいて他の国々での変化を押し付ける試みは、「進歩というよりは悲劇的な結果と衰退を」導いている。プーチンは、月曜日にニューヨークで行われた国連総会の第70回記念総会での演説の中で、世界の指導者に向かってこう語った。

 プーチンは言った。 「我々はすべて、過去が我々に教えることを思い起こすべきだ。たとえば、我々はソビエト連邦の歴史にある例を覚えている。」

 ところが一部の人々は他者の過ちから学んではおらず過ちを繰り返しているように思える、と語って彼は次のように付け加えた。「いわゆる『民主主義』革命の輸出が引き続いている。」
【RTによる動画:プーチンの国連演説から】
https://video-mad1-1.xx.fbcdn.net/hvideo-xaf1/v/t43.1792-2/11958986_1083160481694204_1689936557_n.mp4?efg=eyJybHIiOjE1MDAsInJsYSI6MTAyNCwidmVuY29kZV90YWciOiJoZCJ9&rl=1500&vabr=519&oh=b22929c3679b83d8fba924008782678d&oe=560AA47A

 「私はこの状況を引き起こした人々に問わざるを得ない。あなた方はご自分が何をやってきたのかお気づきか?と。」 「しかし残念ながらその質問はむなしいものになるだろう。自分たちは例外であり罰を受けることはないという自信と信念に基づいた政策が決して放棄されてこなかったからである。」

 彼は中東と北アフリカでの革命を例にとり上げた。そこでは人々は変化を求めたのである。しかしながら、変革と民主主義の勝利と進歩ではなく、「暴力、貧困と社会的災厄が現われ、人権と、生きる権利ですら、何の重要性も与えられてこなかったのだ。」

 「変革がもたらされるのではなく、攻撃的な外国からの干渉が、国内体制と生活のあり方自体の騒々しい破壊をもたらした。」
【ツイッターの写真と説明:
to : 我々は国連を通して およびテロと戦うためのグループに協力したい http://www.rt.com/on-air/ 
http://twitter.com/RT_com/status/648532505671397377/photo/1

 冷戦の時代が終わった後に、たった一つの支配の中心が世界に現われたと、プーチンは述べた。「このピラミッドの頂点」にいる者たちは、次のように考える誘惑にかられた。「自分たちがそれほどに強く例外的である以上は、他の者たちよりもうまくできることは何かを知っている、と。」

 「したがって彼らは国連を気にする必要がない。国連はしばしば、必要とされる決定に対して自動的に承認と正当性を与えるかわりに、障害を作りだす、言い換えると『道に立ちふさがる』ことがあるのだ。」
【YouTubeビデオ】
https://www.youtube.com/watch?t=76&v=q13yzl6k6w0
「あなた方はご自分が何をやってきたのかお気づきか?」プーチンが2015年国連総会で演説
'Do you realise what you've done?' Putin addresses UNGA 2015 (FULL SPEECH)

 ロシアは、国連の権威と正統性を切り崩そうとする試みが「極端に危険なもの」であり、国際関係の全体的なシステムの崩壊を導きかねないものだと確信する、とロシア大統領は語った。前に集まる世界の指導者と政策立案者達に話しかけて、彼は国連の更なる発展に向け統一を呼びかけた。
【ツイッターの写真と説明: 今日、我々は、政治的な理由で国連を通さない一方的な経済制裁に遭っている -
http://youtu.be/q13yzl6k6w0 

http://twitter.com/RT_com/status/648533958104322048/photo/1


【テロリストを用いるゲームをやめ、ISISに対抗して国連の下に集まれ】

 プーチンは、中東と北アフリカ地域における権力の空白が、過激派とテロリストが即座に充満を開始する無法地帯を産み出してきた、と語った。

 彼は、イスラム国(IS:以前のISIS/ISIL)は、イラクとシリアで足場を固めたのだが、いまや全イスラム世界を支配しようと企んでいる、と言う。

 「(イスラム国は)2003年のイラク侵略の後に街頭に放り出されたイラクの元軍人を含む者たちを隊列に加えている。多くの応募した者たちがリビアからもやってくる。リビアは、1973年の国連安保理決議に対する大がかりな違反の結果として、国家としての状態を破壊された国なのだ。」
【音声記録: ロシアは拡張主義的な野望は持っていないが、テロに対しては容赦しない
https://soundcloud.com/rttv/putin-un

 過激派の一部はシリアの「穏健派」反政府勢力から転向したのだが、それは一部の西側諸国によって支援されていると、彼は強調した。

 「まず彼らは武器を与えられて訓練を受け、次にいわゆるイスラム国に向かう。加えて、イスラム国は単にどこからもやって来なかっただけではない。それは元々、望まれない非宗教的な政権に対する武器として作りだされたものでもあったのだ。」と彼は説明した。

 彼はそれを、テロリストたちが全世界に対する自分たちの脅威を宣言する一方で財政支援を受け取る通路を見せないようにするための「偽善であり無責任」として描いた。

 「我々は、テロリストを用いてゲームを行ういかなる試みも、彼らに対する武器供給一つをとっても、単に近視眼的であるのみならず『引火注意』ですらあると信じる。これは、全世界的なテロの脅威が劇的に増加し世界の新たな地域を炎に包む結果をもたらしかねない。」と彼は言った。
【ツイッターの写真と説明: いわゆる「民主主義」革命の輸出は世界中で続いている- to http://on.rt.com/6sg4 
http://twitter.com/RT_com/status/648535814545231872/photo/1

 イスラム国は多くの国々から来る戦士たちに訓練を施す。それは欧州を含みロシアも例外ではない、と彼は語った。プーチンは、地上戦でテロリストと戦っているシリア政府軍との共闘を強く求めた。

 彼は「我々は、テロリストたちに面と向かって勇敢に戦っているシリア政府およびその軍隊との共闘を拒否することが大変な間違いであると考える。」と述べた。

 「我々は結局、アサド大統領の軍隊とクルド人武装勢力以外には、シリアで、イスラム国やその他のテロ組織と本当に戦っているものがいないことを、認識すべきだ。」このように彼は付け加えた。

 ロシアは、この地域でテロリズムに対する戦いを率いるイラク、シリアや他の国々に、軍事技術的な支援を提供してきた、と彼は強調した。

 プーチンはテロリズムに対する幅広い国際的な連帯の努力とその創設に参加するように提案した。彼は、国連憲章の原則に基づいて、イスラム国とその他のテロ組織と対決する合同軍創設を目指す解決方法について、国連安保理事会で協議することを提案した。


【難民危機の最終的な解決は中東の回復である】

 危機に陥った国々を政治的・経済的に安定させる総合的な戦略が展開されるなら、難民危機という問題に取り組む希望が生まれるだろう、とプーチンは述べた。

 「自分たちの祖国を離れるように強制された人々の流れは、近隣の国々と欧州に、文字通り洪水となって押し寄せた。」こう言って、彼はそれを「人々の新たな痛々しい移民」と呼んだ。
【YouTubeビデオ】
https://www.youtube.com/watch?v=f1qIuuMaQ_M
難民危機の解決のために国連による中東の安定化が必要とされる―プーチン
UN: Political stability needed in Middle East to solve refugee crisis - Putin


 彼は、難民危機の根本的解決が、国家としての存在を破壊されてしまった場所でそれを再建すること、政府の機関が弱体化する場所でそれを補強し、人々の出身国に対して総合的な援助を行うことに基づいていると強調した。


【ウクライナの領土的な統合性は武力によって確保できるものではない】

 冷戦思考と地政学的な新たな領土を探る願望は、国際的な共同体の中の一部に、いまだに存在するとプーチンは言う。

 「まず彼らはNATO拡大の政策を続けた。」と彼は語る。ソビエト連邦崩壊に続いて「彼らは旧ソ連の国々に対して、西側に付くか東側に付くかという、偽りの選択肢を提供した。この対決の論理が、遅かれ早かれ、重大な地政学的危機を引き起こさざるをえなかったのだ。それこそがまさにウクライナで起こったことだ。そこでは当時の権力者たちに対する民衆の不満が利用され、それに外国からの軍事クーデターが同調し、それが結果として内戦を引き起こしたのだ。」
【YouTubeビデオ】
https://www.youtube.com/watch?v=6xJRPw6Nfmo
国連:プーチンはウクライナ紛争を巡るNATOの拡大を非難
UN: Putin blames NATO expansionism for Ukraine conflict


 プーチンは、この1月にノルマンジー・フォー(注記:フランス、ドイツ、ウクライナ、ロシアの4カ国首脳)によって取り結ばれたミンスク合意の完全な実施を、再び呼びかけた。彼は、その合意がウクライナの「文明国家」としての発展を保証するだろうと述べた。

 「ウクライナの領土的な統一性は脅迫と軍事力で確保できるものではない。必要なことは、ドンバス地域の人々の利益と権利に対する真摯な考慮であり、彼らの選択に対する尊重である。」


【引用、翻訳、ここまで】
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