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RT記事和訳:G20はプーチンの完全勝利

G20メンバーにイスラム国の資金源が


 つい先日、11月15日に私は「和訳:ヴァルダイ会議でのプーチン演説(2):西側が誤魔化し置き去りにし続ける諸問題」をアップしたばかりだが、この間に事態がめまぐるしく移り変わっている。今日はロシア国営RT11月16日付の次の記事の和訳(仮訳)をご紹介したい。
Putin: ISIS financed from 40 countries, including G20 members(プーチン:ISISは40カ国から資金を提供されるが、それにはG20メンバーも含まれる) Published time: 16 Nov, 2015 14:29
https://www.rt.com/news/322305-isis-financed-40-countries/

 私は9月にフランスがIS(イスラム国)の石油施設を爆撃したときに「あれ?」と思った。もしかするとフランスは、アメリカ=NATOに対して公然と反旗を翻したのかもしれない。どの国もロシアによるIS攻撃の準備に気付いていたはずだからだ。そしてその「報復」とされる13日の金曜日のパリ大虐殺事件は、直接の下手人はISメンバーだろうが、これには相当に裏がありそうだ。マスコミ報道の公式発表には俄かには信じがたいところもある。まあしかし今は余計な憶測はせずに情報を見守りながら確かめてみたい。

 また10月に起きたシナイ半島でのロシア機墜落事件も、これは西側メディアがパリの惨劇の何分の1か程度の関心を持って伝えていたものだが、ロシアが「テロ」を語ることにやけに慎重だったのに比べて、誰よりも早くイギリスが、続いてアメリカが、「ISによるテロ攻撃だ」と断定したことにも「あれ?」と思った。しかしロシアも表向きは「飛行機の故障」と言いつつ、実際には爆破されたことを最初から確信していたはずだ。そして11月17日になってようやく「テロ攻撃だった」ことを公式に認めた。この発表のタイミングは明らかに、パリの惨劇とフランスによるIS報復爆撃、それに対するヨーロッパ諸国の支持表明に合わせている。

 さらに、シリアの国連大使バシャール・ジャアハリは同じ17日に、ロシアによる空爆開始以来、およそ100万人にのぼるシリアからの難民がシリアに帰還した と述べた。10月になって国を離れたシリア人が続々と帰国していることは知っていたが、この数字が本当なら、ロシアによるISへの攻撃がいかに多くのシリア国民に祖国再建への希望を抱かせるものなのか、十分に分かる。逆にいえばアメリカとNATOがどれほどシリア国民に信用されていないのか、そしてアサドを「独裁者」となじってアルカイダ系を含む「反政府勢力」を支持してきた世界中の論者たちの愚かさも、同時に明白になる。そしてまた、ISの壊滅と中東諸国の社会的・経済的再建が、「難民問題」の唯一の解答だということも。

 そんな中、急きょ「テロ糾弾集会」と化したG20は、皮肉にも「ISホスト国」の一つであるトルコが会場だったのだが、そこで、ロシアが今後の世界情勢で最大のカギを握ること、プーチンがその主役になったことがはっきりした。調子に乗って「民主主義革命の輸出」に励んできた者たちは、致命的な弱みを握られ身動きならぬ羽目に陥っているはずだ。完全にプーチンの勝ちである。

 RTの記事によると、ロシア大統領は集まった首脳にISへの資金提供者の一覧を示したようだ。そしてその中にG20のメンバー国も含まれると語っている。それがどこなのかは今のところ報道陣には公開されていない。しかし、少なくとも、オバマ、キャメロン、エルドガンとサウジアラビア国王は顔色を変えただろう。またプーチンはシリアの反政府武装勢力(自由シリア軍を含む)がロシア空軍の支援を望んでいることを明らかにしている。これは少し前からすでに報道されてきた(西側メディアは無視している)ことだが、いずれは彼らの口からも、ISにどこから大量の兵器や物資や資金を手に入れてきたのかが明らかにされるだろう。

 さらにプーチンはISが石油の不法な取引によって資金を稼いでいる証拠を挙げている。つまり、その石油に裏でカネを支払っている者たちの存在だ。最後に彼は、シナイ半島で墜落したの飛行機の残骸の精密な分析が進められていることを語る。これは私の現段階の憶測でしかないのだが、使用された爆薬や爆弾の部品などの分析からそれがどこで製造されたものなのか、すでにかなりの精度でつきとめられている可能性もあるだろう。いずれにせよ今後の数年をかけて、アメリカの「対テロ戦争」と「民主主義革命の輸出」の化けの皮が剥がされていくと期待される。ただし、プーチンは力のバランスを重視する政治家なので、アメリカにとって致命傷となる暴露は避けるだろうが。

 そしてついに、17日午後にフランス大統領オランデがロシアのプーチン大統領とIS攻撃での協力体制を築くことに合意したことを、スペイン各紙が報道した。RTによれば東地中海に展開する予定のフランスの空母艦隊にロシア海軍が全面協力するということだ。この意味は将来のヨーロッパと世界にとって極めて重大だろう。世界は再び大きく動き出したようである。

11月18日 バルセロナにて 童子丸開

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プーチン:ISISは40カ国から資金を提供されるが、それにはG20メンバーも含まれる
2015年11月16日 14時29分  編集:2015年11月16日20時58分


 ウラジミール・プーチン大統領は、イスラム国の資金提供についての諜報データを、G20に集まった彼の同職たちと共有した。それによると、テロリストたちは40カ国からの資金提供を受けているようであり、それには一部のG20メンバー国も含まれている。

 サミットの間に、「私は、イスラム国(IS、以前にはISIS/ISILと呼ばれた)の様々な部隊の個々の人物による資金提供についての我々のデータを提供した。我々が立証したことだが、この資金は40カ国から来ており、そしてその中にはいくつかのG20メンバーがいる」と、プーチンは記者団に語った。
    《YouTubeビデオ:G20でのプーチンの記者会見》
    
https://youtu.be/96k_8ywt22g

 プーチンはまた、ISによる石油の不法な取引を抑止する緊急の必要性について語った。

 「私は、石油と石油製品の不法な取引の規模を明らかに表す、我がメンバーが宇宙からと航空機から撮った写真を見せた」と、彼は言った。

 「給油する車両の列が何十キロメートルにも伸びているが、4千メートルから5千メートルの高度から見ればそれは地平線の果てまで続いていた」。プーチンはこのように付け加え、ガスと石油の輸送船団やパイプライン・システムとの比較を行った。

 プーチンは、今はテロリスト・グループに対して連合された国際的な努力が必要とされるため、どの国がイスラム国との戦いにより有効でありどの国がそうでないのかを取り上げるのに適切な時ではない、と言った。

    《ツイッターより》
    BREAKING: Putin & Obama hold talks on G20 sidelines
    
https://t.co/qhj5hvsKoB pic.twitter.com/VIvpf8wf5n
    — RT (@RT_com) November 15, 2015

 プーチンは、イスラム国と戦う努力の中でシリアの反政府武装勢力へのロシアの支援準備が整っていることを繰り返した。

 「一部の反政府武装グループはロシアの支援によってISに対する積極的な作戦を開始することが可能だと考えている。そして我々は空からそういった支援を提供しようとしている。もしそうなれば、それが後に続く政治的な設定の作業にとって良い基盤となるかもしれない」と彼は言った。

 「我々はアメリカ、ヨーロッパ諸国、サウジアラビア、トルコ、イランからの支援を本当に必要としている」。大統領はこのように続けた。

    《ツイッターより》
    ‘Let’s work together to annihilate ISIS’
    
https://t.co/Y7Q4l8SLkEpic.twitter.com/F9ysQ9kvCG
    — RT UK (@RTUKnews)November 16, 2015

 プーチンは、テロリズムに対する戦いにおけるモスクワとの連携の姿勢について、ワシントンの変化を指摘した。

 プーチンは言った。「我々は、テロ攻撃の防止と世界的な規模でのテロリズムとの闘いに対して特別に照準を当てた作業を組織化する必要がある。我々は反ISの努力で(アメリカとの)協力を申し出た。不幸なことに、アメリカの我が同職たちは拒否した。彼らは単に一つのメモ書きを送りつけてきただけで、それにはこう書かれていた。『我々はあなた方の申し出を拒絶する』と」。

 「しかし人生は常に、しばしば我々に教訓を与えながら、とても速いペースで進展するものだ。(テロに対する)効果的な攻撃は共同してのみ実現可能だという認識が、全員に広がりつつあるのだ」。ロシアの指導者はこのように語った。

    《ツイッターより》
    BREAKING: Terror intel exchanges between US, Russia need to be enhanced – #CIA head Brennan
    
https://t.co/X8Xup6IypD pic.twitter.com/ZbMvPkuLFd
    — RT (@RT_com) November 16, 2015

 プーチンによれば、何よりもまず、シリアのどのグループがテロ組織と見なしうるか、そしてどれが武装はしていてもなお正当なシリアの反対派であるとされるのか、はっきりさせるべきである。

 「我々の努力はテロリスト組織と戦うことに集中させなければならない」。

 プーチンはまた、シリアでのロシアの行動に対する西側の批判に反論した。シリアでロシアは、9月30日以来、イスラム国やその他のテログループに対する大規模な空爆を実施しつつある。

    《ビデオ:ラタキア空軍基地からIS占領地に向けて飛び立つロシアのスホイ戦闘機》
    https://youtu.be/tf6osc-dBcQ

 「我々を批判することは本当に難しいだろう」。彼はこう言ってさらに、ロシアが他の国々の指導者に対して、シリアでどこがテロリストに対する攻撃の対象となるかについてのデータを提供してくれるように、繰り返し頼んだことを語った。

 「彼らは、我々が攻撃すべきでない地域に関して我々に教えることを恐れている。そこを我々がまさに攻撃するのではないか、ロシアはみんなを騙しているのではないかと恐れているからだ」。大統領は言った。

 そして「明らかに、彼らの我々に対する見解は、人間の品性について彼ら自身が持つ概念に基づいている」と付け加えた。

 プーチンはメディアに対して、ロシアが既にシリアの反政府派との接触を確立させていることを語った。反政府派はモスクワにその支配地域を空爆しないように要請している。


シナイ半島での飛行機墜落の原因についてはまだ結論が出ていない

 去る10月末にエジプトのシナイ半島で起きたロシアA321ジェット旅客機の墜落原因に関して、結論を出すにはまだ早すぎる。調査によってあらゆる可能性がいまだに考えられているからである。プーチンは言った。

 「我々はあらゆる可能なシナリオについて、あらゆるシナリオが考慮中であることについて知っている。最終的な結論は、精査の実施と完結の後でのみ、出すことができるのだ」。彼は強調した。

 「もし爆発物があったのなら、爆発物の痕跡が旅客機の機体や乗客の持ち物に残っているかもしれない。それは避けることのできないものだ。そして我々は十分な機器と技術を持っており、世界レベルの専門家がいて、それらの痕跡を発見できるだろう。その後でのみ、この悲劇の原因について語ることが可能になるだろう」。大統領はこのように続けた。

 この墜落で死亡した224人の人々についてプーチンは次のように語った。「それは我々全員にとって巨大な心の痛みだ。全てのロシア人にとって、墜落の原因が何であったとしても」。

【引用、翻訳、ここまで】

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