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米国議員の「ネオナチ追求」にたじろぐヌーランド

オバマ政権の「お里」を証明したウクライナ危機


 5月11日にウクライナ東部ドネツクとルガンスク両州で、キエフ傀儡政府の武力による攻撃に脅かされながらも、自分たちの未来を自分たちで決めようとする住民投票が決行された。まだ正式な集計結果は出ないものの、90%に近い圧倒的多数がキエフからの分離独立に賛成票を投じたようだ。これが民主主義だと思うのだが、その一方で、民主的に正当に選出された大統領をナチ末裔暴力集団を使って追い出したファシズム・クーデターに当初から支援を送っている西側「民主主義」国家の指導者たちは、この住民投票を「非合法なものである」と非難する。特にオバマの盟友であるフランスの「社会帝国主義者」オランデの醜さは際立っている。同時にまた、西側主流メディアはあのファシストによる不当で非合法なクーデターには一切触れずに、西側主要国指導者の反応ばかりを大きく報道することで、立派に戦争プロパガンダ機関としての役割を務めている。マスコミや出版で飯を食っている大勢の「識者」たちも同様で、どうせまた「不正な集計」とか何かで難癖を付け続けることだろう。ご苦労様なことだ。

 その一方で、4月半ばにCIA長官のジョン・ブレナンが直接にキエフに赴き、現在キエフ政府内で何十人ものCIAとFBIの要員が働いているほかに、400人ほどのアメリカ人がウクライナ傀儡軍の指揮を執っていることが明らかである。彼らはペンタゴン直属の私的軍事組織Academi(以前のBlackwater)の者たちでありCIAの指示に従ってウクライナでの軍事作戦を取り仕切っている。この紛争は明白にアメリカによる対ロシア戦争の一部であり、アメリカによる「世界ファシズム革命戦争」の1ステージなのだ。戦争プロパガンダのペテンと目くらましに引っかかってはならない。

 ところで、
先日(5月2日)のオデッサ大虐殺事件で、犠牲者のかなりの部分が放火による焼死ではなく、労働組合会館に侵入した殺し屋どもの手によって計画的に殺害されたあとで焼かれた可能性が非常に高いことが明らかになっている。和訳はしないが、次のRT記事(英文)をご覧になれば分かる。ただし、その証拠となる多くの写真は残酷なシーンばかりであることをお覚悟いただきたい。
How Neo-Nazi Thugs Supported by Kiev Regime Killed Odessa Inhabitants. Photographic Evidence
 命からがら火炎から逃れた人々も会館ビルの周囲で首を絞められたり野球のバットで殴られるなどして殺害されたという証言もある。(焼けるビルから脱出した人々のうち少なくとも8人が惨殺された。)
Odessa tragedy survivor: ‘Many people strangled after escaping the fire’

 また私が先日お伝えした通り、このオデッサの悲劇は決して偶発事故ではなく、最初から計画され意図的に引き起こされたものであることも明らかだ。次のGrobal Research誌記事によれば、ウクライナの現職の検事総長オレーフ・マクフニッツキー氏は、この事件が計画的な犯行でありキエフの高官たちがそれに関与していることを語った。
Odessa Tragedy Planned by Authorities’ Representatives – Kiev Official

 もちろん西側の戦争プロパガンダ機関がこれらの事実や情報を世界に広めることはない。主流メディアの帝国主義賛美の論調によれば、オデッサ大虐殺は、連邦制支持者(親ロシア派)と親キエフ派のデモが街頭で衝突した結果としてたまたま起こった悲劇であり、労働組合会館での死者は火災による死者で、その責任はロシア政府が負うべきものである、ということになる。そんな西側の帝国主義者の論調は、正確に記録された客観的事実によってことごとく逆転させられるだろう

 しかし我々は、現在のウクライナ紛争だけではなく、もっと大きな流れにも目を留めておかねばならない。

 ウクライナを巡って欧州を無理やりにロシア攻撃に引きずり込んだヴィクトリア・"FUCK EU!"ヌーランドはオバマ政権の国務次官補だが、その夫は著名なネオコンの論客ロバート・ケーガン。もちろんだが共にユダヤ系米国人である。かつて「ナチズムの最大の被害者」であったはずのユダヤ人が、ナチス協力者としてユダヤ人虐殺に精を出した者達の紛れもない後継者であるウクライナのファシストを使ってクーデターを起こし、「オデッサ水晶の夜」と形容する人すらいる大虐殺の実質的な首謀者になっている のだから、穏やかな話ではあるまい。

 現代世界の主流の(支配的な)歴史観から言うならば、現在我々の目の前にあるこのような事実は何か非常に奇妙で不吉なものに、おそらく歴史の皮肉あるいは不条理というように映るに違いあるまい。大勢の「識者」たちがまともにいまの事実を観察しようとしない原因の一つがここにあるのかもしれない。しかし実際にはそれには何の不思議も無い。かつてのヒトラー・ナチスと現在のシオニストあるいはネオコン・ユダヤが同じ「根」を持つ一つの木の果実であり、その「根」がアメリカにあることは、このサイトにある「アーカイブ」の中の『イスラエル:暗黒の源流 ジャボチンスキーとユダヤファシズム』をお読みいただければ分かる。純然たるファシストであるネオコンのユダヤ人にとって、かつてユダヤ人を大量に虐殺した者たちとその後継者たちこそが「親友」であり「親族」ですらある。

 歴史に皮肉は無い。現在の事実は過去の事実によって生み出されている。現在の一つの事実が皮肉と映るならば、それはそのように見る歴史観自体が誤っていることを意味する。

 それに関連して今回は次のRTの記事を和訳(仮訳)してご紹介したい。
http://rt.com/news/157808-nuland-grilled-ukraine-costs/
Nuland has tough time justifying US involvement in Ukraine  (Published time: May 09, 2014) 
 この中で、"FUCK EU!"ヌーランドがアメリカ議会で、共和党議員の一人からウクライナ・クーデターでのネオナチの存在を指摘され、何とか誤魔化そうとしどろもどろになっている様子が紹介される。この記事の元になるビデオはもちろん西側の報道機関が記録したものだ。しかし西側主流メディアがこんな米国政府のありのままの姿を世界に向けて報道することはない。それらがアメリカとヨーロッパの「1%の」支配者に属し、その「99%」に敵対しているからである。

 もちろんだが、アメリカ国民(および日本を含む属国国民)から搾り取った膨大な資金をウクライナのネオナチ政権につぎ込んだのはヌーランドの力だけではない。アメリカを実質支配する勢力の政治代表部を務めるネオコン政治家と諜報部がマイダン・クーデターの初期からネオナチ勢力に確実で膨大な財政的・技術的支援を行ってきた。またブッシュ以来の「対テロ世界戦争」で最悪の敵とされてきたアルカイダもまたネオコンとシオニストたちにとっての「無二の親友」 であることが、シリア紛争の中で明らかになっている。


【ネオナチのスヴォボダ指導者と会うアメリカ・ネオコン議員(元大統領候補)ジョン・マケイン。マケイン自身はユダヤ系ではないが、忠実なネオコン政治代表部の一員である。


【マケインはシリアを流血と破壊の巷に変えたアルカイダ系組織にもエール(および援助)を送っている。このことは、ブッシュ・ネオコン政権以来の「対テロ戦争」で最悪の敵だったはずのアルカイダが実はネオコンの「親友」であることを示している。】


【スヴォボダ党首オレーフ・チャフニボーク(左)とヴィクトリア・ヌーランド。彼女はこの「ネオナチ革命」の主催者の一員である。】

 アメリカの支配者が世界から民主主義を撲滅し各属国の警察国家化を強行しつつある様子については、こちらの『オバマ:「中東を改造する」:アメリカのグーラグ(収容所列島)』(ジェームズ・ペトラス著、松元保昭訳)をお読みいただきたい。「アラブの春」からウクライナに続く一連の戦争政策は、もうすでにオバマ・アメリカの「お里」を十分すぎるほど明らかにした。それはオバマのはるか以前から一貫して追求され続ける「世界の改造」の司令部、すなわち「ナチス・アメリカ」に他ならない。

(2014年 5月12日 バルセロナにて 童子丸開)

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http://rt.com/news/157808-nuland-grilled-ukraine-costs/
ヌーランドはアメリカのウクライナへの関与の正当化に大苦戦
(RT May 09, 2014)

Download video (36.51 MB)
【ビデオ画面の説明】米国務省欧州・ユーラシア担当国務次官補ヴィクトリア・ヌーランド(AFP Photo / Nicholas Kamm)

【ダナ・ローラバッカー議員の質問にたじたじとなるヌーランド】

 オバマ政権がウクライナの大統領選を重大な国家的利害にかかわると力説する一方で、アメリカの政治エリートメンバーの一部はそれに関与することのコストに疑問を発している。

 2時間にわたる議会の外交問題委員会公聴会で、米国務省国務次官補ヴィクトリア・ヌーランドは、ウクライナ危機と近づきつつある大統領選挙でのアメリカの役割に関する自らの
判断を発表した。

 しかしすぐさま彼女はカリフォルニア選出の共和党下院議員ダナ・ローラバッカーの火の出るような攻撃にさらされた。

 「以前に合法的な選挙があって、そして合法的に選ばれた大統領が、街頭での大きな暴力の後で取り除かれました。そこに我々がネオナチと呼ぶ者たちが走り回っている複数の写真がありましたが。」ローラバッカーはこのようにヌーランドに抗議した。

 ヌーランドは返答に困り果ててしまった。

「何よりもまず、マイダン集会に参加した人々の圧倒的多数は平和な抗議者たちでした。母親たちや祖母たち、退職者たちがいました。」こうヌーランドは言ったが、彼女が話を続けるより先に、ローラバッカーはウクライナの暴力的な過激派たちが膨大に存在したことについて国務次官補に注意を促した。

 「私はそれらの写真を見て、また警官隊のグループに火炎瓶を投げる多くの人々を見ました。警察官の列に発砲する者たちもいました。確かに花を持つ母親たちもいましたが、同時にまた、あれらのデモには極めて危険な街頭戦闘部隊も加わっていました。質問はこうです。ネオナチ・グループが加わっていたのかどうか?」

 ヌーランドは自己弁護することができず、「ウクライナの多くの色があり、その中にはとても醜い色がありました。」

 公式な記録としてヌーランドは一つの声明を提出し読み上げたのだが、彼女は、アメリカのウクライナに対する政策が4つの柱に基づくものであると述べた。

 まず第一に、ワシントンは5月25日の選挙に対して「財政的、技術的、そして死をもたらさない種類のセキュリティ面の援助」を提供する。

 「2013年の年度会計/USAID基金の9200万ドルと14年の年度会計の8600万ドルに加え、我々は5000万ドルの追加援助を技術的な支援として、そして4月1日に議会で通過した権限の下で10億ドルのローン保証を提供している。」

 選挙に対するアメリカの支援は、来る投票での監視の参加と同様に、「有権者への啓もうと参加を促す活動への援助を含む1100万ドルの中立的な選挙活動」を含む。

 「我々が派遣する100人のOSCEの監視者に加え、アメリカは255人の長期監視者と3000人を超える短期監視者を支援している。」このようにヌーランドは語った。

 財政的な援助は次のものを含む。「ウクライナの軍と国境警備隊に対して中心的任務を全うできるようにするための、1800万ドルの死をもたらさない種類のセキュリティー援助。」


【写真:AFP Photo / Alex Wong  Url:
http://rt.com/files/news/26/87/00/00/31.jpg

 第2に、ヌーランドの概説によると、アメリカは「ロシアがその方針を変える場合の外交的な段階的縮小への扉を開いておくために」国際的なパートナーたちとともに活動しており、キエフはジュネーブ協定の規定を満たしたが、一方で「ロシアはその約束を何一つ守らなかった。」


 第3にワシントンは、ヌーランドが実を結びつつあると主張するロシアへの経済制裁を確実に強化しつつある。

 「ロシア経済は…すでにこれらの国際的にかけられた制裁の圧力のもとで屈服しつつあります。その信用貸付の格付けは破産国家のわずかに上を漂っているのです。」このようにヌーランドは語った。

 これには全員が賛同したわけではない。テキサス選出の共和党員テッド・ポーは、多くの者たちが制裁が実際に効果をもたらしているとは信じていないことを語る。

 「私はそれがうまくいっているとは思いません。」彼は言った。「どのように公正に見ても、私は制裁がロシアの行動を止めさせているなどとは思えません。」

 一方でヌーランドは、ウクライナに関してアメリカがとりつつある最終的なステップは、「モルドバやグルジアのような他の最前線の国家群に対して支援を行うと同時に、」NATOの同盟国にアメリカの取り組みへの確証を与えることだと述べた。

 「我々はNATOの同盟国と共に、目に見える再保証を提供するために作業をしてきました。陸上でも海でも空でもです。それはNATO条約の第5条が意味することそのものです。」

 この公聴会の間に、水曜日にモスクワでの交渉の席でプーチン大統領とOSCE事務局議長のスイス大統領ディディエ・ビュルカルテとの間で合意に達したウクライナ危機解決に向けての唯一の明確な提案は、キエフの政府によって無視された。

 OSCEの工程表を拒絶する一方でキエフは、「あらゆる地域と市民社会から来る全ての政治勢力の代表者」と共に「国家統一の円卓」を組織する自らのあやふやな計画を推し進めている。同時にキエフは、他の進展をも顧みずに、ウクライナ南東部地域に対するその「反テロ作戦」を続行すると確約したが、ロシア外相はそれをジュネーブで達した合意に厚かましく逆らうものだと語る。

【引用、翻訳、ここまで】
 

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