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ジョナサン・コールのビデオ(日本語字幕付き)

9・11と実験:ニュートンvsNIST


 このジョナサン・コールの実験と説明は、WTCビル群崩壊を合理的に説明するための大前提になるニュートンの力学法則を、ふだん基本的な物理学に接することの少ない人のために、実験を通して説明したものである。
    
https://www.youtube.com/watch?v=2fYU5-3bwgE
    Newton vs NIST by Jonathan Cole - Japanese

 このビデオの初めの方で、字幕の文字数に対して時間が短すぎ分かりにくい個所や、字幕が文字化けして意味が分からなくなっている個所がある。
●0〜4秒の画面


●4〜7秒の画面

 「月が落下しつつあることを知るために、人は一人のニュートンにならねばならなかった。月は落ちないと誰もが思っているときにである。」とは、フランスの詩人であり哲学者のポール・ヴァレリーの言葉。なお、月が地球の周りを回る公転運動は、地球の重力によって引っ張られて常に「落下しつつある」運動である。

●26秒〜31秒の字幕の2段目は、日本語訳原稿を字幕に焼き付ける際に文字化けが起こったもの

 2段目の「基魔オています。」は、「基本法則を示すことを意図しています。」の誤り。

(1)このビデオでの実験が示す内容

 このビデオにあるジョナサン・コールの実験は、運動する物体の加速度と力との関係についてである。力学の基本法則を知っている人なら特に見るまでもないことだろうが、コールはあくまで非専門家のためにこのビデオを作っている。特に運動法則(ニュートンの第2法則:力=質量×加速度)から、次のようなことが分かるはずだ。

 ある物体が自由落下をしている最中には、その物体は周囲に何の力も与えないし周囲から何の力も受けない。だからその物体が、その周囲にある構造を(あるいは自らを)破壊しながら自由落下することは、原理的に不可能である。もし自由落下している物体の下にある構造が破壊されているなら、それは落下とは無関係の力によってである。(『12年間放置された 9・11未解決事件 第1の鍵:「WTC第7ビルはなぜ自由落下した?」 』を参照のこと。)

 また、落下する物体の加速度が、自由落下の加速度(重力加速度)よりも小さいが同じ方向なら、少なくともその期間は、物体を支える構造が物体の重さよりも小さな力で破壊され続けることになる。当然だが、加速度の大きさ(絶対値)が重力加速度に近ければ近いほど、破壊に要する力は小さい。したがって、物体の周囲に物体の重さを支えることが十分に可能な構造があるにもかかわらず、物体が減速せずに落下を続けているような場合、その構造の破壊には外部の力が作用したことになる。

 もし加速度ゼロ、つまり等速運動をしているのなら、物体の重さと、物体がそれを支える構造に与える力は等しい。

 次に、ある物体が重力とは逆の方向の加速度を持つ、つまり速度を落としながら落下するなら、少なくともその期間は、物体を支える構造に物体の重さよりも大きな力が与えられることになる。ビデオの7分25秒前後で、減速したときにボーリングの玉をつるしていた糸が切れるのはこのような理由による。逆に言えば、もしある物体が落下している最中に、自分の重さよりも大きな力を周囲に与えているのなら、その期間その物体は必ず減速する。つまり加速度は落下の方向に対してマイナスになる。

 このビデオでは、以上の原則と実際のWTCビル上層部分の落下の関係がやや分かりにくいが、その点については、『WTCツインタワー上層階の落下が示す真実(第1部)』で十分に説明されているだろう。

 また、このビデオでコールが行っている説明の中で、特に力の方向について少し分かりにくい個所があるかもしれない。たとえば、4分33秒〜4分40秒で、コールは「合計の重さ、つまり上向きの力(upward force)は同じでしょうか」とある。これ以降にも「上向きの力(upward force)」という言葉がよく使われている。これは、はかりの上に物体を置くと、物体は重さつまり下向きの力(downward force)をはかりに与えるが、同時にまた、はかりが物体に対して大きさの等しい上向きの力を与える(「作用・反作用の法則:ニュートンの第3法則)ことを意味する。はかりの針はその力の大きさ(絶対値)を示している。

(2)実際のWTCツインタワー崩壊で問題になる点

 このビデオでコールは直接には触れていないが、実際のツインタワー崩壊で、第1ビル(北タワー)上層部分の落下が観測できる間に減速つまりマイナスの加速度が発生している様子が全く無い、という点は決定的に重要である。これはチャンドラーよりも トニー・ザンボティの論文はっきりと示されているのだが、仮に加速度の大きさに多少の変化があったとしても、それが常に重力の方向と等しかったという点こそが最も重大である。落下するビル上層の塊の下にある構造が、その重さを支える力すら失っていたことを意味するからだ。

 この事実は、上層部分の塊が落下しながら次々とその下の階を押し潰していったというズデネック・バザント博士の説明を、根底から覆すだろう。バザントは俗に言う「パイルドライバー説」を説明した論文 で、落下する上層部分が一つの階に当たってその落下運動を継続させるために、上層部分の重量の31〜64.5倍の力が必要であると計算しているのだが、それは必ず大きな減速を引き起こすことになる。つまり重力の方向とは逆の(マイナスの)大きな加速度が観測できなければならないが、実際にはそれはどこにも存在しない。

 またバザントは、
支柱の縦の連なりがその接続の部分で簡単に折れ曲がってしまう(buckling)という想定を元に、崩壊の開始と、以後の崩壊の連続を説明している。
 
 しかし『ツインタワーと第7ビルの基礎データ』にもあるように、コア部分は支柱が垂直方向に継ぎ合わされているだけではなく、水平方向と斜め方向の鋼材で垂直の支柱が繋ぎ合わされた立体構造になっている。また外周の構造は、高さを変えて互い違いに組み合わされて接続された外周ユニットが直方体の籠であり、コアと外周の間を100を超える床の構造が水平方向に結び付け、巨大な立体的構造を作り上げている。

 そのお互いに立体的につながり合った支柱の接続部分が、現実的に具体的に、どのようにクニャッと簡単に折れ曲がるのか、私には想像すらつかない。また実物に即した縮小模型を使ってそのことを証明した実験の例も、一つとして知らない(間違いなく存在しない)。要するに、バザントの想定には何の具体性も実証性も存在しないのだ。

 一方、NIST(米国国立標準技術院)はそのバザントの「パイルドライバー説」を自分の説明に取り入れているのだが、その具体的な検証は何一つ行っていない。彼らはツインタワー崩壊に関するQ&Aの中で次のように書いている。
 ・・・12階分(第1ビル)と28階分(第2ビル)の部分の運動量(これは質量と速度の積である)が、その下にあってそれを支えていた構造(これは上層階の静止状態での重量だけを支えるように設計されたものであり、その下方に向かう運動量によって起こされるいかなる動的な影響にも耐えるようなものではない)の持つ強度的な能力をはるかに超えてしまい、それ(下方の構造)が落下する質量を止めることもその速度を緩めることすらもできなかった。下に続くそれぞれの階が受けた下方に向かう運動量は質量の増加のせいでむしろ大きくなっていったのである。

 NISTは、どのデータを根拠にしてWTCツインタワーが「上層階の静止状態の重量だけを支えるように設計された」と言っているのか、明らかにしようとしない。また彼らは現在まで、「その下方に向かう運動量によって起こされるいかなる動的な影響にも耐えるようなものではない」と判断する根拠を示したことがない。また「運動量」にしても「強度的な能力」にしても、一個の数字も数式も示したことがない。全てが《根拠抜きの断定》である。これは宗教ドグマの一種なのだろうか?

 それにしても、「速度を緩めることすらもできなかった」、つまり上層階の「静止状態の重量」を支える力すら持たない構造が、よくもまあ30年間近くも「静止状態の重量」を支え続けることができたものだ! ここまでくれば「ご立派!」としか言いようがあるまい。仮にそんなオカルト・タワーがあったとしても、運動量保存法則によって、上のビルの塊が下の階を取りこんで質量を増加させる瞬間には必ず速度を落とすと思うのだが、その減速が全く起きなかったのである。

 あくまでNISTやズデネック・バザントを擁護し、第1ビル上層部分が落下しながら次々と下の階を潰していったと主張する人がいるなら、その人は自ら、事実を元に、チャンドラーやザンボディよりも優れた観察と分析と計算を用いて、明らかなジョルト(減速=マイナスの加速度)の存在を証明しなければならない。あるいはジョルト無しで下の階を崩壊させ質量を増加させるメカニズムを、事実に基づく、具体的で明確な根拠を示して、説明しなければならないだろう。(不可能なことは分かっているので待つことはしないが。)

 また、『
WTCツインタワー上層階の落下が示す真実(第2部)』で書いたこと、特に「(4)似非(えせ)科学:911公式説明の中心に横たわるブラックホール」で述べた内容は重大である。

 仮にツインタワー上層部の塊が落ちてビルを破壊したと仮定しよう。その塊はある大きさの力をその下の部分に与えて、破壊していったことになる。しかしその力は下に向かうと同時に、同じ大きさで上にも向かう。もし下にある部分がその力で破壊されたのなら、上にある部分もまた同時にその力で破壊されたはずである。
「落下するビルの塊」が、どのようにして塊の姿を保ったままでビルの付け根まで「クラッシュダウン」することが可能なのか、バザントからもNISTからも、またその支持者たちからも、具体的な根拠を示した説明は存在しない。

 こんな程度の馬鹿げた理屈が9・11事件の公式の説明の中心にある。それが世界を13年間も縛り続け世界を破壊し続けている。それを絶対に正しいと真剣に信じ続ける人らはその破壊の共犯者である。もし9・11事件の米国政府の説明を肯定する人が、わずかにでも知的な誠実さを持っているなら、バザントの「クラッシュダウン・クラッシュアップ」論文の非科学性と、《根拠抜きの断定》を繰り返し宗教ドグマと化したNISTの説明をこそ、何よりも先に批判すべきだろう。それが済んでから「陰謀論」を批判すればよい。

(2014年10月13日 バルセロナにて 童子丸開)

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