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9/11がユーロフィジックス誌の特集記事に

15年の後に:高層ビル崩壊の物理学について



 9/11事件15周年の今年、ヨーロッパの権威ある物理学雑誌であるユーロフィジックス誌(Volume 47, Number 4, July-August 2016)は、2001年9月11日に崩壊したニューヨーク世界貿易センター(WTC)ビルについての特集記事を掲載した。次のUrlからそのpdfファイルをダウンロードすることができる。 (p21 - p26を見よ)
http://www.europhysicsnews.org/articles/epn/pdf/2016/04/epn2016-47-4.pdf

 この雑誌はもちろん物理学の専門誌なので、他にも宇宙物理学や力学についての興味深い記事がある。そこにはこの雑誌の愛読者が見るとおそらく非常に困惑するのではないかと思われる写真と記事が載せられている。もっとも、若い世代の人たちには見出しの写真がいったい何なのかピンとこないのかもしれない。何せ、もう15年も前のことなのだ。(左の写真は21ページにある記事の見出し)

 9/11事件の論争に少しでも首を突っ込んだことのある人なら「何だ、陰謀論がどうしてこんな高級な雑誌に載せられるんだ?」と怪訝に思い、「目にしてはならない」ものを見てしまったというように、27ページに飛んでいってしまうだろう。しかし今まで事件への関心を持たずほとんど何も知らない人や若い世代の人たちは、案外と新鮮な好奇心溢れる目でこの記事を読むのかもしれない。

 どんな態度もその人の自由なのだが、少なくともこの種の権威ある雑誌の編集部が検討して掲載することに決めた記事である以上は、編集部にしても「意義がある」と判断してのことだろう。私がざっと目を通した限りでは、今まで当サイトの『
911エヴィデンス』で紹介していること以上の新しい内容は少ない。しかし、この事件が「未解決」であり、最も肝心な、物理的現象を詳細に記録する映像証拠に対する分析作業が、大部分の権威ある学者や研究者の間で完全に中断状態にある以上、この事件は《常に新しいテーマ》であり続けるだろう。

 近ごろ、アメリカでは「911事件、サウジアラビア主犯説」がちやほやされているらしい。イラク政府がそれに悪乗りしてサウジアラビアに賠償金を請求するとかしないとか…。私としてはそんな説には特に関心はない。その説が、この記事に書かれているような物理現象を十分に説明するものであるのなら、別に誰が真犯人でも構わないわけだが…。

 以下に、記事内容の和訳(仮訳)を掲げておこう。訳文中の [1] [2 ]などは原文に施された著者からの注釈ナンバー、また@A などは訳者が施した注釈ナンバーであり、これらは末尾にある脚注(英語原文の通り:外部リンク無し)にリンクされている。ただし著者からの注釈では、注釈のついた箇所が複数あるため、内部リンクでその場所に戻すことができない。訳者からの注釈では、注釈の【戻る】で、そのナンバーのある付近に戻ることができる。

 この記事には、9/11事件を通して、アメリカという国の権威ある者たちがどのように嘘をつき、どのように虚構を真実とすり替えているのかの、具体例が生々しく描かれている。内容の理解には、2001年9月11日に頂上から地上階までがバラバラに分解された、ニューヨーク世界貿易センター(WTC)ツインタワーと第7ビルについての知識、および多少の物理学的・化学的な知識が必要かもしれない。しかし、もし詳しいことが分からなくても、訳注にあるビデオや説明サイトの紹介などを利用して、この論文が読者に伝えたかったことがおおよそでも分かっていただければ、訳者としてはそれ以上の喜びはない。

 なお、この論文とは無関係だが、当サイト『911エヴィデンス』に、WTCビル群の崩壊以外のテーマとして、同じ9/11の日に起きたユナイテッド航空93便の墜落を取り扱ったシリーズ『ユナイテッド93「墜落現場」の大嘘』を追加した。そこには次の四つのページが含まれる:
初めに事実ありき(1:草原の奇妙な凹み』 『初めに事実ありき(2:残骸は?火災跡は?』 『初めに事実ありき(3):一般の航空事故現場』 『初めに事実ありき(4):「証拠」の隠蔽と捏造
 こちらの方にもお目をお通しいただければ幸いである。


2016年10月4日 バルセロナにて 童子丸開

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15年の後に:
高層ビル崩壊の物理学について

スティーブン・ジョーンズ(1)、ロバート・コウロル(2)
アンソニー・ザンボティ(3)、テッド・ウォールター(4)
(1)ブリガムヤング大学(既に退官)、 (2) マックマスター大学(名誉教授)、
(3) 航空産業の工学デザインエンジニア、 
(4) 9/11の真実を求める建築家とエンジニアたち所属
http://dx.doi.org/10.1051/epn/2016402
2001年9月11日、世界は、三棟の巨大な鉄骨構造の高層ビルの
全面的な崩壊を目撃した。それ以来、科学者たちとエンジニアたちは、
なぜ、どのように、これらの前例のない構造的な崩壊が起こったのかを
理解するために、研究を続けている。



編集部からの注釈
この特集記事は、普段の純粋に科学的な我々の記事とはいくぶん異なっており、その中に何らかの思索を含んでいる。しかしながら、この事柄のタイミングと重要性を考えてみるなら、この特集記事が十分に工学的なものであり、我が読者にとって公開に値する興味深いものだと、我々は考える。もちろんだが、この記事の内容は著者たちの責任によるものである。
 

 2002年8月のこと、米国国立標準技術院(NIST)が、2001年9月11日(9/11)に起こった三つのビルの崩壊@についての、6年間にも及ぶことになる調査を開始した。つまり、その日の午前中に起きた世界貿易センター(WTC)ツインタワーの有名な崩壊、そして午後遅くに起きた世界貿易センター第7ビルのあまり知られていない崩壊についてである。この第7ビルは飛行機の激突を受けていない。NISTはその研究を、「WTC両タワーとWTC第7ビルは、火災が重要な役を果たした高層ビルの全面的・構造的な崩壊の唯一の事例であった」と述べられる前提に基づいて、行ったのである。

 実際に、9/11の前にも後にも、火災が鉄骨構造の高層ビルの全面崩壊を引き起こしたことは一度もない。また、他の自然災害ででもそのようなことはない。1985年のメキシコ市の地震で起きた例外を除いてだが、それは21階建てのビルを転倒させたものであった。その一方で、そういったビル群を完全に破壊することのできる唯一の現象は、制御解体として知られる手順によって起こされるものである。その手段では、爆破装置あるいはその他の装置が計画的に構造を破壊するために使用される。NISTが何年もの研究の後に、9/11の日に起きた三つのビル全ての崩壊は基本的に火災によるものだったと、最終的に結論付けたにもかかわらず、この出来事から15年たってこの説明に納得できない建築家、エンジニアと科学者たちは増え続けているのである。


高層ビルの崩壊を防ぐもの

 鉄骨構造の高層ビルが、全面的崩壊を引き起こさずに大規模な火災に耐えることのできる理由は、主要に次の4点である。
1)火災は一般的に十分に高い温度ではなく、いかなる特定の箇所でも、巨大な建築用鋼材が破壊される温度に達するまでの十分なエネルギーを発生するほどに、十分に長く続くものではない。(建築用鋼材が十分に強度を失って破壊する温度は、その設計に使用された安全率によっている。例えばWTC第7ビルのケースであれば、その安全率は一般的に3以上であった。それでは、破壊が起こるには強度の67%が失われる必要があるが、そのためには鋼鉄がおよそ660℃にまで熱せられなければならない。)
2)ほとんどの超高層ビルには火災を抑えるシステム(スプリンクラー)が付いており、それによってさらに火災が、鋼材を破壊の危機的状況にまで温度を上げるのに十分なエネルギーを発生しないようにさせる。
3)建築用鋼材は断熱素材によって保護されており、それによって、ある特定の時間内で崩壊の危機を作る温度に達することを防ぐように設計されている。さらに、
4)鉄骨構造の高層ビルは、極めて複雑な構造のシステムとなるように設計されている。したがって、もし部分的な崩壊が起こったとしても、その大きさに見合わない構造全体の崩壊を引き起こすことはない。

 歴史の全体で、三棟の鉄骨構造の高層ビルが火災による部分的な破壊を被ったことで知られているが、そのどれ一つとして全面的な崩壊を導くことはなかった。他の数多くの鉄骨構造の高層ビルは、大規模で長時間の火災に遭ったが、部分的にも全面的にも崩壊を起こしてはいないのである。(例として、画像1のaおよびbを見よ) [1]

画像1: WTC第5ビルは鉄骨構造の高層ビルが巨大な火災の中で典型的にふるまう実例である。これは2001年9月11日に8時間にわたって燃え、全面的崩壊を起こさなかった。(Source: FEMA).

 常に存在する重力による荷重と一時的な火災に対する耐性に加え、高層ビルは、特に強風や地震といった、他の極端な出来事の間に発生する負荷に耐えるように設計されている。強風と地震に対する設計で必要とされるのは主に構造が外側面に生じる負荷に耐える能力である。それらは曲げによって支柱に張力と圧縮力を発生させ、その圧縮力は次に、垂直方向の荷重のために重力による圧縮力との合力を作る。鋼鉄が幅広く製造されるようになって初めて、その外側面での大きな負荷に耐える能力を得て高層ビルの建設が可能になった。コンクリートのようなもろい材質なら張力に弱いのだが、鋼鉄は非常に大きな強度と延性の両方を持ち、それによって外側面での負荷によって発生する張力に耐えることができる。コンクリートは現在でも一部の高層ビルに使われるのだが、鋼鉄による補強が実質的にすべての場合で必要とされる。

 外側面での負荷に耐えることができるように、高層ビルではしばしば、重力による荷重に対する支柱の荷重耐力のパーセンテージが比較的低くなるように設計される。たとえばツインタワーの外側支柱は、重力による荷重に耐える能力のおよそ20%しか使っておらず、能力の大部分が、強風や地震の際に発生する外側面での余分な負荷のために、残しておかれた。[2]

 9/11で飛行機激突の後に存在した唯一の負荷は重力と火災によるものだった(その日は強い風が吹かなかった)ために、多くの技術者たちはツインタワーが全面的に崩壊したことに驚いた。実際にそれらのタワーは、特にジェット旅客機衝突の衝撃に耐えるように設計されていたのである。構造設計エンジニアの長だったジョン・スキリングは1993年の世界貿易センター爆破事件の後でシアトルタイムズ紙のインタビューでつぎのように語った。「我々の分析が示した最も大きな問題点は、(飛行機からの)燃料の全てがビルの中に流れ落ちるかもしれないということでした。恐ろしい火災が起きるでしょう。多くの人が死ぬかもしれません。」彼は言った。「ビルの構造はそのままでしょう」と。スキリングは続けて、200ポンド(90kg)の一個の自動車爆弾がどちらのツインタワーをも転倒させたり主要な構造を破壊したりすることはないだろうと語った。「しかし、」と彼は付け加えた。「それは、適切に設置された同量の爆破装置、つまりシェイプチャージA が、とんでもない規模の被害を起こさないという意味ではありません。もしその種の作業の最優秀な専門家がいて、彼に爆発物でこれらのビルを崩落させる任務を課したと想像するならば、彼はそれをやってのけるだろうと、私は断言できます。」

 言い換えると、スキリングは、ツインタワーを崩落させる唯一のメカニズムは制御解体であると信じていたのだ。


制御解体の技術 

  制御解体は目新しいものではない。長年、ビルを単純に破壊して細かいかけらにすることは、もっぱら揺れる鉄のボールを付けたクレーンで行われてきた。たまにこの方法では壊すことのできない建築物があった。1935年のこと、シカゴで1933年に行われた万国博覧会場にあった191mの高さの二つの塔が、680kgのテルミットと58kgのダイナマイトを使って取り壊された。テルミットは金属粉末の燃料(最も一般的にはアルミニウム)と金属酸化物(最も一般的には酸化第二鉄つまり“さび”)を含む焼夷剤Bである。より効果的でより安価に解体する必要のある十分に大きな鉄骨構造の建造物がある際には 、必然的に、切断用シェイプチャージの使用が標準的なものになる。シェイプチャージが爆発物のエネルギーを集中させる能力を持つため、それは鋼鉄支柱を素早く確実に斜めに切り落とすように設置することができる。

 一般的に言って、大きな建造物を解体するために使われるこの技術は、ビルの十分に大きな範囲内にある支柱を切断して、その範囲の下側にある全ての残りの部分を押し潰すのと同様に、そこよりも上にある無傷の部分を落下させて自潰させてしまうC。この技術はより洗練された方法で使うことができる。爆破装置が一定の順序で作動するように時間を調整して、中央部に最も近い支柱を最初に破壊するのである。内部の支柱の崩壊は外壁を内側に向けて引く力を産み出し、ビルの大部分が内側にそして下側に引き落とされ、その間に様々な物体が押し潰されていく。こうして、押し潰された物体は何らかの定まった場所に、多くはそのビルの“フットプリント”の範囲内に、溜められることになる。この方法はよく“インプロージョン”D として述べられる。


WTC第7ビルのケース


画像2: WTC第7ビルは、その崩壊の2,25秒の間、左右対称を保ったまま自由落下加速度で落ちた。 (Source: NIST).

 画像2に示されるが、9/11の午後5時20分に起きたWTC第7ビルの全面的崩壊Eは注目すべきものである。それがインプロージョンのあらゆる明らかな特徴を実例として示したからである。このビルは、最初の32m、つまり8階分の距離にわたる崩落[3] の2.25秒の間に、完ぺきな自由落下で落ちた。静止状態から自由落下への移行は突然に、およそ0.5秒の間で起きたものである。ビルは左右対称を保ってまっすぐ下に向かって落ちた。その鉄骨構造はほとんど全面的に解体され、ビルのフットプリントの内側にそのほとんどが溜まった。一方でコンクリートの大部分は微細な粒子にまで粉砕された。最終的に、この崩壊は7秒以内の迅速なものだった。

 この崩壊のこの特質があるからには、科学的な方法を貫くいかなる調査であっても、制御解体という仮説を、たとえそれから出発しないにしても、真剣に考慮すべきだったろう。しかしそうではなく、NISTは(連邦緊急事態管理局FEMAと同様にだが、そこはNISTに先立って予備的な研究を行った)、この崩壊が火災によるものであったという前もって決定済みの結論から出発した。

 この前もって決定されていた結論を証明する試みは明らかに困難だった。FEMAの9か月の研究は次の言葉で締めくくられた。「WTC第7ビルでの火災の詳細、およびそれらがどのようにビル崩壊の原因となったのかは、現時点では不明のままである。ビル内にあった灯油の全量は巨大な潜在エネルギーを含むものではあるが、最も良い仮定をしても、その出来事を起こす低い可能性を持つにすぎないものだ。」その一方でNISTは、WTC第7ビルのについての報告書の発表を、2005年の半ばから2008年11月まで、延期しなければならなかった。2006年3月になってようやく、NISTの主任研究者であるシャイアム・サンダー博士は次のように言ったと伝えられる。「真相を言えば、私は本当に分からない。我々は第7ビルの取扱いに難儀しているのだ 。」
画像3: NISTが作成したWTC第7ビルのコンピューター・モデルの最終画面は、外壁部の大きな変形を示すが、それはビデオでは見られないものである。 (Source: NIST).

 その間ずっと、NISTはその前もって決定済みの結論と矛盾する証拠を頑固に無視し続けた。その最も注目すべき例は、WTC第7ビルが自由落下で落下したことを否定しようという試みだった。技術説明会の場でその点について指摘された際に、サンダー博士はそれを次のように言って否定した。「自由落下はその下に何の構造的な要素も持たない物体に起こるものです。」しかしWTC第7ビルの場合では、彼はこう主張した。「そこには構造による抵抗が与えられていました。」高校の物理学教師デイヴッド・チャンドラーと物理学教授スティーヴン・ジョーンズ(この記事の著者の一人)による挑戦を受けた後でようやく、NISTはその最終報告書で2.25秒間の自由落下を本当に認めたのであるF。この二人はビデオでその落下を測定していたのだ。それでもなおNISTのコンピューター・モデルは自由落下している時間を全く示していないし、NISTは、WTC第7ビルで8階分の高さにわたってどのようにして「その下に何の構造的な要素も持たない」状態になりえたのか、何の説明もしようとしなかった。G

 その代わりに、NISTの最終報告書は前例のない崩壊メカニズムの手の込んだシナリオを乗せていた。床の梁の熱膨張がそれに接続する大梁を圧迫してその接続部から外した、というものである。この大梁の脱落と呼ばれるものが、続いて八つの階の床が雪崩うって崩落する原因となったように想定されているが、それは、これもまた熱膨張のためとされる他の二つの大梁の接続の破壊と結びつき、1本の主要な支柱が九つの階にわたって支え無しになって、折れ曲がりを起こした、とされている。この1本の支柱の破壊が、内部構造全体の崩落へと急激につながり、支えの無くなった外壁を空っぽの殻にして残してしまった、と想定された。次に外壁の支柱が2秒間にわたって折れ曲がり、外壁全体が同時に一単位として落下した、とされた。[3]

 NISTは、そのコンピューター・モデリングの中で、決定的な危機状態にある構造の特徴を省略、つまり表示しないことによって、初めてこのシナリオに到達することができたのだ[4] 。これらの誤りのうちのたった一つを修正することによってすら、NISTの崩壊の開始は議論の余地なく不可能となってしまう。ところが、前もって決定済みの結論にとって都合の良い誤りを含んでいてすら、NISTのコンピューター・モデル(画像3を見よ)は、観察される崩壊の再現することに失敗している。逆に、ビデオでは観察されない外壁の大規模な変形を見せ、自由落下の時間を見せることはない。同時にまた、このモデルは、7秒間の崩壊時間のうちの2秒間未満で、何の説明もなく終了する。残念なことに、NISTのコンピューター・モデリングは外部からの客観的な評価を受けることができない。NISTがそのモデリングのデータの大部分を、「公共の安全を脅かすかもしれない」という理由で、公開することを拒否したからである。


ツインタワーのケース

 NISTがWTC第7ビル崩壊を分析しモデル化しようと試みたのに対して、ツインタワーのケースではNISTはそのようにはしなかった。NIST地震の言葉を使えば、「この調査の焦点は、飛行機激突の瞬間から各タワーの崩壊の開始までに起きた一連の出来事に当てられた…。この一連の事柄は『崩壊につながるはずの連続』として語られている。それは崩壊開始の状況に達し崩壊が不可避となって後のタワーの構造的な挙動の分析をほとんど含まないものではあるが。」[5]
画像4: 上のグラフ[10]は、WTC第1ビルの屋上のラインの速度について、デイヴィッド・チャンドラーの測定値[9]とバザントの誤謬に満ちた計算値[11]、およびザンボティとジョンの計算値を比較したもの。この最後のものは、質量、最初の階を通しての加速度、運動量の保存、そして塑性モーメント(構造物の断面が絶えることのできる最大の曲げモーメント)の修正値を取り入れたものである。この計算は、もし爆破装置が無ければWTC第1ビルの上層部分は2階分の落下の後で落下を食い止められたであろう、ということを示している。(Source: 注釈[10]

 こうして、ツインタワー崩壊に関する決定的な報告書は、ビルのより下層の部分が落下する上層の部分を食い止める、あるいは遅くすることすらできなかった ― NISTが「基本的に自由落下で崩落した」[5-6] と認識する ― ことの理由についての分析を全く含んでおらず、崩壊の最中に起きたことが観察される他の様々な現象の説明を全く行わないものである。ある請求者のグループがNISTに対してそのような分析を行うように求める公式の修正要求を突きつけた際に、NISTは、「コンピューター・モデルが解決に向けて収束することができなかった」ために、「全面的な崩壊の十分な説明を提供することは不可能」であると返答したのである。

 ところがNISTは、上層の部分が重力の働きによって崩落する際により下層の階がそれを食い止める、あるいは遅くすることができなかった、という断定を実証しようとする試みの中で、実際に一つのことをやったのである。NCSTAR 1-6の323ページで、NISTは土木工学教授のズデネク・バザント(Zdeněk Bažant)とその助手の研究員ヨン・ゾウ(Yong Zhou)の論文を引用しているのだが、それは2002年1月に公表されたもの[7] であり、NISTによるとそれは、「なぜ全面的な崩壊が起こったのかという疑問を取り扱った」もの(あたかもその疑問がNIST自身の視野の外に当然ものとしてあったかのように)である。この論文の中で、バザントとゾウは、上層の部分がより下層の部分に衝突する際に強いジョルト(ぎくしゃくした動き)があっただろうと主張する。それは支柱に折れ曲がりを開始させるに十分なほどの荷重の増加を産むものである。彼らはまた重力のエネルギーは、支柱が折れ曲がる際にそのエネルギー吸収能力の8.4倍だっただろうと主張した。

  それ以来何年間も、研究者たちはWTC第1ビルの上層部分の落下を測定し、そしてそれが決して減速しなかったことを発見したH。つまり、強いジョルトなど無かったのである[8-9]。研究者たちは同時に、バザントが崩壊の最初の階を通して自由落下加速度を使っていることを批判した。測定値はそれが実際には重力加速度のおよそ半分であったことを示しているのだ[2] 。一つの階が落下した後で、測定値は、自由落下の結果であるべき秒速8.5mではなく秒速6.1mであることを示している。この速度の差は効果的に運動エネルギーを倍増させる。それが速度の2乗の関数だからだ。加えて研究者たちは、バザントが上層の部分の質量として使用した58×106kgが最大値として設定された荷重であり、実際にそこにあった荷重の33×106kgではないことを示して見せた[10]。この二つの誤謬を共に用いて、落下する質量の運動エネルギーは3.4倍に潤色されたのだ。さらに、バザントが使用した支柱のエネルギー吸収能力が少なくとも3倍も低いことが明らかにされている[2]

 2011年1月に[11] 、バザントともう一人の助手であるジャ・リャン・リー(Jia-Liang Le)は、減速が無いという批判を退けようと試み、わずか3%の速度の減少があっただけだろうと主張した。それはあまりにも小さいのでカメラの解像度の範囲内で観察することができないだろうということである。リーとバザントはまた、運動量保存による速度の減少はわずかに1.1%だろうと主張した。しかしながら、リーとバザントが上層の部分の質量を54.18×106kgと誤って使用し、また衝撃を受ける階の質量をわずか0.627×106kgとしたが、これはバザントが初期の論文で用いた3.87×106kgという階の質量と明らかに食い違っている。前者の質量はコンクリート製の床材の質量だけであり、その一方で後者の質量には各階にあったその他の物体の質量がすべて含まれている。これを修正するだけで、運動量保存による質量の減少が6倍以上に、つまり7.1%にも増えることになるのだ。加えて、支柱のエネルギーの吸収がバザントの主張よりもはるかに顕著なのである。それ以来研究者たちは計算を提供して、一つの階で自然に起こる崩壊が、単に減速を引き起こすだけではなく、実際に1階分か2階分の落下で止まってしまうことを明らかにしている(画像4を見よ)[2, 10]


その他の未説明されない現象

 上で取り上げた崩壊のメカニズムは、飛行機の激突とそれに続く火災がツインタワー崩壊の原因ではなかったことを示す、入手可能な証拠の中のごく一部分にすぎない。各タワーの上層の部分が崩壊の最初の4秒以内で解体したことがビデオでわかる。その時点の後に、上層の部分が地面と激突して崩壊するまでの間にずっと落下し続けたと言われるIような事実を示すビデオは一つとして存在しない。ビデオと写真は、また、数多くの高速の残滓の噴出が極めて小さな源から飛び出しているのを見せている(画像5を見よ)J。NISTはこれらを「煙の吹き出し」と言ったが、それらを適切に分析できなかった[6]。NISTはまた、タワーのコンクリートの大部分が空中で粉末と化したことK、鉄鋼構造のほぼすべてがバラバラに解体されたことL、また半径150mにわたってあらゆる方向でこれらの物体が放り出されたことM について、何一つ説明を行っていない。

画像5: 高速の残滓の噴出、つまり「スクイッブ」が、WTC第1ビルと第2ビルで崩壊が起こっている20階から30階 も下の階の極めて小さな源から噴き出していた。 (Source: Noah K. Murray)

画像6: 崩壊に先立つ7分の間 、融解した金属がWTC第2ビルからあふれだし続けた。 (Sources: WABC-TV, NIST)

 NISTは、十分に資料化されたビル跡地残骸中の融解した金属の存在に触れることを避け、崩壊前の7分間にWTC第2ビルからあふれ出ているのを目撃されたオレンジ色に融解した金属Nを、飛行機のアルミニウムが有機物質と一緒になったものだと言い張った(画像6を見よ)[6]。しかし融解したアルミニウムは有機物質と混ぜられた場合でも銀色に見えることが実験で明らかにされ、そこでその代わりに、その融解したオレンジ色の金属は、構造を弱めるために使用されたテルミット反応でO発生したものであることが示唆された[12]。一方で、無反応のナノ・サーマイト剤がP、多数の独自に集められたWTCの粉塵サンプルから後に発見されている[13]

 初期通報者135人を含む156人ほどの目撃者の証言が資料化されているのだが、それによると、彼らは崩壊に先立って、そして/あるいは崩壊途中に、爆発を見たり聞いたり、そして/あるいは肌で感じたりした[14]。ツインタワーが爆発物によって解体されたことは、大部分の初期通報者たちに最初に広まった見方だったように思える。「私は実際にそれが爆発していると思いました。」消防局の隊長ジョン・コイルは言った。「その時にはまだこれらの物体はぶっ飛ばされたと思ったようです。」[15]


 結論

 繰り返すが、9/11の前にも後にも、火災が鉄骨構造の高層ビルを全面的に崩壊させたことは一度もない。我々は2001年9月11日に、前例のない出来事を3つの別々の時間に目撃したのだろうか? NISTの報告書は、そのありそうにもない結論を支えようと試みたものだったが、ますます多くの建築家、エンジニアそして科学者たちを説得しそこなっている。逆に証拠は圧倒的に、三つのビルのすべてが制御解体によって破壊されたという結論を、指し示しているのだ。極めて重要な含みを言うとすれば、この仮説が真に科学的な、そして責任ある権威者たちによる偏りのない調査の主題となることは、道徳上の責務である。


著者について

スティーヴン・ジョーンズは、ブリガムヤング大学の元教授である。彼の主要な研究テーマは核融合、太陽エネルギー、そして考古年代測定法の分野である。彼は、WTC破壊途中での超高温の証拠とWTC粉塵中にある未反応のナノ・サーマイト剤の証拠を文書化した多くの論文の著者、あるいは共著者でもある。


ロバート・コウロルはカナダ、オンタリオ州マックマスター大学の土木工学の名誉教授であり、同時に、カナダ土木学会とカナダ工学研究所の一員でもある。彼の主要な研究テーマは、構造力学および鉄骨構造の分野である。最近になって、彼はH型鋼材支柱の屈曲後の抵抗力、そしてコンクリート床材の粉塵化に伴うエネルギー吸収を調べる実験に携わっている。

アンソニー・ザンボティは、航空産業と通信産業で25年の構造デザインの経験を持つ、工業デザイン技術者である。2006年以来、彼はWTC高層ビル崩壊についての数多くの技術的な論文の著者や共著者となっており、それらはJournal of 9/11 Studies誌やInternational Journal of Protective Structuresで発表されている。


テッド・ウォールターは9/11の真実を求める建築家・エンジニアたち(AE911Truth)の戦術と展開のディレクターである。そこは非営利団体であり、現在2500人を超える建築家やエンジニアたちを代表している。2015年に、彼はAE911Truthの「偽情報を超えて:世界貿易センター第1、第2、第7ビルの破壊について科学が何を言うか」を著した。からはカリフォルニア大学バークレー校で公共政策学の修士号を得ている。


脚注
[1]  NIST: Analysis of Needs and Existing Capabilities for Full-Scale Fire Resistance Testing (October 2008).
[2]  G. Szuladziński and A. Szamboti and R. Johns, International Journal of Protective Structures 4, 117 (2013).
[3]  NIST: Final Report on the Collapse of World Trade Center Building 7, Federal Building and Fire Safety Investigation of the World Trade Center Disaster (November 20, 2008).
[4]  R. Brookman, A Discussion of ‘Analysis of Structural Response of WTC 7 to Fire and Sequential Failures Leading to Collapse, Journal of 9/11 Studies (October 2012).
[5]  NIST: Final Report of the National Construction Safety Team on the Collapses of the World Trade Center Towers (December 1, 2005).
[6]  NIST: Questions and Answers about the NIST WTC Towers Investigation (Updated September 19, 2011).
[7]  Z. Bažant, Y. Zhou, Yong, Journal of Engineering Mechanics 128, 2 (2002).
[8]  A. Szamboti and G. MacQueen, The Missing Jolt: A Simple Refutation of the NIST-Bažant Collapse Hypothesis, Journal of 9/11 Studies (April 2009).
[9]  D. Chandler, The Destruction of the World Trade Center North Tower and Fundamental Physics, Journal of 9/11 Studies (February 2010).
[10]  A. Szamboti and R. Johns, ASCE Journals Refuse to Correct Fraudulent Paper Published on WTC Collapses, Journal of 9/11 Studies (September 2014).
[11]  J.-L. Le and Z. Bažant, Journal of Engineering Mechanics 137, 82 (2011).
[12]  S. Jones, Why Indeed Did the WTC Buildings Collapse Completely? Journal of 9/11 Studies (September 2006).
[13]  N. Harrit et al., Open Chemical Physics Journal (April 2009).
[14]  G. MacQueen, Eyewitness Evidence of Explosions in the Twin Towers, Chapter Eight, The 9/11 Toronto Report, Editor: James Gourley (November 2012).
[15] Fire Department of New York (FDNY): World Trade Center Task Force Interviews, The New York Times (October 2001 to January 2002)

【訳者からの注釈】
@ こちらのサイトにあるビデオを参照のこと。一部につながらなくなったものもあるが。【戻る】
A 鋼材などに穴を開けたり切ったりするために、爆発物などのエネルギーをこちらの図のように細い隙間から噴き出させる方法。支柱などを効果的に切り取るためにはこちらの図のように、斜めに取り付けることがある。【戻る】
B この「焼夷剤」は“incendiary”の訳語として使ったもの。高温を発して焼いたり破壊したりするための物質を指す。【戻る】
C こちらのビデオを参照のこと。【戻る】
D こちらのビデオには、様々なインプロージョンの例が集められている。【戻る】
E 第7ビルの崩壊の様子は、こちらのビデオで様々な方向から見ることができる。【戻る】
F ビデオ「WTC7:NISTがついに自由落下を認める(日本語字幕版)」の「第1部」、「第2部」、「第3部」を、また当サイト『再調査を求める建築・工学の専門家』を参照のこと。【戻る】
G 自由落下運動と第7ビルの落下については、当サイト『第1の鍵:「WTC第7ビルはなぜ自由落下した?」』に詳しい。【戻る】
H 当サイト『WTCツインタワー上層階の落下が示す真実(第1部)』を参照のこと。【戻る】
I 当サイト『WTCツインタワー上層階の落下が示す真実(第2部)』を参照のこと。【戻る】
J ツインタワー崩壊で見られるスクイッブの様子はこちらのビデオで見ることができる。【戻る】
K 粉塵が作った「雲」については、第1ビルではこちらのビデオ、第2ビルではこちらのビデオを参照。また粉塵の分析についてはこちらのサイトを参照のこと(英語サイト)。【戻る】
L 崩壊跡地(グラウンド・ゼロ)の様子はこちらのサイト(英語サイト)で見ることができる。バラバラに解体された鉄骨構造についてはこちらにある写真が分かりやすい。【戻る】
M 残骸が飛び散った範囲については、こちらのFEMA作成の図を参照のこと。【戻る】
N この灼熱に融解した金属については、こちらのビデオ、およびこちらのビデオでわかりやすい。【戻る】
O 当サイト『鋼材を溶かした硫黄はどこから来たのか? 』を参照のこと。【戻る】
P WTC粉塵中で発見されたナノ・サーマイトについてはこちらのサイトを参照のこと(英語サイト)。【戻る】

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